おつきさまがきれいだねえ

幼児の僕は言い
感心した祖母は、この子はお坊さんにするといいよ、
と言ったそうだ

そんな話を聞きながら、両親と年越しをした翌年元日

寝正月をするには、天気が良すぎたから
お昼過ぎ、散歩に出ます

昨年、梅雨時だったか
傘をさしてあるいた山の城跡に再挑戦



ole ハ ツエ ヲ テニイレタ

前回は雨で難儀して引き返した山道も
快晴のもと、快調にすすみ

ちいさな山の城跡を30分程度で廻りおえてしまった
殿、このような構えでは簡単に侵攻されますぞ



世が世なら、僧侶になっていたかもしれない男は



山の裏側に降りて、ふわりふわりと杖を片手にあてなく歩き






牛に出会う
君の出番は、おととし終わったばかりだ



ほう、階段、のぼってみよう

今度の山は、台風被害もそのままに
荒れて厳しい
ほとんど獣道

動物の、というか猪の痕跡だらけ



効果のほどはわからないけど、杖で木や竹をこんこん叩きながら進みます

ここに人がいますよ~
猪の出番も今年はありませんよ~
こんこん

ときおり、がさがさっ、と何かが音をたてる山中



怯えつつも、
いくつもの倒木を乗り越え、くぐり抜け、なんとか下山



あれ、牛さん
先ほどの牧場の裏側に出ました

牛の世話にやってきた男性が
だいぶ不審げに僕を見ます

そうでしょう、そうでしょう
元日の、人も入らぬ山から
貧弱な竹杖をもった見知らぬ男が出現、これは不審

精一杯の笑顔で、こんにちは~
と僕

あやしい者ではありませんよ

初散歩、迷いこんだ山から生還したばかりなのです
今年もよろしくお願いいたします