ともかく、僕はテレビが駄目である。昔はまだ見ていたのだが、いつか知らないがやたらと文字が画面に踊るようになってから、そちらの方に気をとられて全然画面に集中できないのである。もっとも稀にいいものがあるCMを除くと画面を見たってあまりたいした画面はない。集中できないだけでなく、量と質を取り違えた醜いマーケティングのせいだろうか、やたらと姑息な演出が多い。番組の内容で演出しているのではなく、他局にチャネルをとられないようにするような演出ばかりである。それがだんだん目に余るようになってから完全に見るのをやめてしまった。見ると時間を無駄にしたような気になるし、醜さに不機嫌になる。五分で席を立ってしまう映画よりも醜い。


昔はそれでもドラマを映画監督が演出していたら見ていた。例えば今回の『探偵物語』は村川透だから見ようとか、池広一夫が時代劇演出するから見ようとかである。映画監督でなくても、東芝日曜劇場は鴨下信一が演出だから見ようとかいうのはあったが、そういうのも最近はなくなった。


テレビで凄いと思ったのは、正確にいうと一回しかない。80年代のある日テレビをつけたらやっていたこれである。ツナギとかはいかにもテレビ的なんだが、これはこれで凄いと思った。






いま思えばマーラーの4番なんて、僕はこれで覚えたんだ。このYouTubeにはないけど、バッハの『主よ人の望みの喜びよ』も使われていたのも未だにはっきりと覚えていたし、中尾幸世さんの名前も今でもはっきりと覚えていた。演出の佐々木昭一郎さんの名前を見て『紅い花』の人かと当時ようやく得心がいった。高校の国語の先生が凄いといっていたのを思い出したからである。こういう番組やってくれるならテレビ見ます。