1941年、エルンスト・ルビッチ監督。原題は、”That Uncertain Feeling"。

ルビッチの劇場未公開作品。『淑女超特急』はビデオ化されたときのタイトル。その前は、『あのムズムズする気持ち』と呼ばれていたが、こちらのタイトルの方が英訳としては、とてもいい気がする。

この作品、大好きである。ルビッチの作品の中では、一番気楽に見られるし、英語も非常にわかりやすいので、いったい何回見たかわからない。

この作品、無声映画ではないがタイトルが入る。最初のタイトルはこうである。

Men have been rightly called the Masters of the World. Men have subduedthe wild animals. Men have penetrated deep into the jungle, and havebeen able to look at the Moon and the planets. But there is still oneplace on Earth where no man has ever set foot nor has been evenpermitted to glimpse.

それで、次のショットで、女性用の化粧室の扉がうつる。それも、最初に扉の "Ladies'" という文字を出して、それから、”Lounge" を示す念の入れようである。

最後の方のメルヴィン・ダグラスが泊まっているホテルのスイートに、マール・オベロンが尋ねてきて、メルヴィン・ダグラスが続きの部屋の扉の向こうに、あたかも女性がいるような演技をするところも、何度見ても本当に可笑しい。

バージェス・メレディスがルビッチ的な男優ではないので、この部分については乗れない人もいるかもしれないが、メルヴィン・ダグラスは素晴らしい。たしかに、ルビッチの大傑作ではなく小品風の「普通」の作品かも知れないが、いまどき「普通」の作品なんて、鉦と太鼓で探してもなかなか見つからない。しかも、この作品は、間違いなくルビッチの芸が随所にみられ本当に可笑しいのである。

この作品に見られる戦後の小津作品のような、流麗なアクションつなぎは、本当に今の作品からは消えてしまった。このアクションつなぎだけでも必見である。なお、主演女優であるマール・オベロンのアップが少ないというか、ほとんど存在しないのは、彼女、このとき化粧負けしていたからだそうである。また、夫婦の寝室で、オベロンとダグラスが一緒に寝ている場面があるが、ベッドは別々で、少し隙間があるのを確認して欲しい。当時のコードでは、これがぎりぎりなのである。

Keeks!

That Uncertain Feeling (YouTube)