川本元気塾の締めくくり、市民健康づくり講座実践編も受けてきました。福島大学陸上部の学生さんたちの協力の下、様々な機器を利用して、身体の重心の位置、歩くスピード、歩幅、指先の毛細血管微少循環などをデータ化して、スポーツや日常生活にどう影響してくるのか、個別に川本先生からアドバイスをいただきました。

前半の講義では、いつまでも若々しく活力ある人生を歩むには、脚の筋肉が非常に重要であること。筋力は30代をピークに活動量が少ない人ほど低下して行き、特に下半身に起こりやすく、筋力が低下してくると、疲れやすくなる。歩行能力が最もよく分かる指標が歩行速度。脚の筋肉が減少し脂肪が増加することで、歩行速度が低下し、歩幅が短くなっていく。毎日ウォーキングやジョギングなどをしている人と、何もやらない人と、脚の筋肉量はどのくらい違うでしょうか。それは、なんと同じだそうです。マラソン選手の脚は皆細い。筋肉をつけるには、一定の負荷を与える必要がある。森光子さんが毎日続けていたスクワットなどが有効。また、一秒に二歩、テンポ良く歩く活力歩で歩くと、体にエネルギーが湧いてくる。

この様に、カリスマコーチと、その指導を受けているアスリートに直接触れ合える、オフシーズンならではの実践指導でした。

学生たちの川本先生評は、川本先生は、自分から聞きに行けば何でも教えてくれる。でも、それには自分で考えて努力しなければ、行けない。今年卒業する学生の4年間の感想は、タイトルは取れませんでした。やはり日本一になることが目標。でも多くのことを学べた4年間でした。と、川本先生の下で4年間指導を受けられたことは、幸せな、貴重な四年間だったと思います。ぜひ、その経験を社会に出てから多くの人に伝え、生かしてほしいと思います。川本先生は、学生に足が速くなる技術だけを教えているのではないと、半年間の講義を受けて、よくその指導姿勢が解りました。学生がこれから学び舎を巣立ち、一社会人として自立していく為の人間教育、生きる姿勢を、競技に勝たせることと同じくらい重要に考えています。例えば、コーヒーを飲み終えたマグカップが机にある時「川本先生カップ下げておきましょうか?」と学生が普通に言える。そうすれば、人は気持ちがいいし、そうすると、またいろいろなことを教えてもらえる。これは社会に出ても同じで、目上の人に可愛がってもらえることは、社会人としての美徳のひとつです。

そして最後に、川本先生に最も聞いて見たかったことを質問してみました。

今まで、数多くのアスリートを育ててきた中で、記録が伸びていく、成長していく選手の、最も重要な資質は何でしょうか?

オリンピックに行くようなトップアスリートは、素質もさることながら、どんな性格で、どういう心持ちで、その高い目標と向き合い、日々辛いトレーニングを耐え抜いてきたのか。

そして、掲げる目標を達成する選手と、怪我や挫折やスランプを超えられず諦める選手と、どこに差があるのか? 選手たちの心理を知り尽くす、トップアスリート製造コーチに聞いて見たかった、最大の疑問でした。

その答えは、まずは、素直なこと。これは納得です。予想通りです。成長するために、最も大事な資質でしょう。

そして、次に挙げた要素が、日々の練習を面白がること、楽しむことができること。を挙げたのです。辛い練習に耐え抜く忍耐力ではないというのです。ましてや、惰性や、やらされ感などがあって耐えていても、本物の力は育たないでしょうし、小平奈緒が言う、自分の限界を超えて成長できる楽しさ。道を極めようとして打ち込む探究心。氷を愛し、氷と対話できるその域は、どんな世界でも相通ずるのだと思いました。

そして、成長するもう一つの要素は、以前のセミナーで出た、他人の事を考えられるようになること。勝負に挑む時、単純なミスで負けていることが多いと川本先生は言います。自分のことだけに没入すると、大事なことにも気づかない。高梨沙羅もソチとピョンチャンの違いは、との問いに、広く周りを見渡せるようになった。と言ってました。ゴーグル越しの目がカッコ良かったですね。

大西鐵之祐先生が言っていた、一流のスポーツは宗教の域に近づく。羽生結弦の、あの強靭な精神力は、一スポーツの域を超えた精神性を感じます。絶対に勝てる!という自信と信念に裏付けられた思い込み力。逆境にこそ自分の力を発揮できる。プレッシャーが後押ししてくれる。一番滑走大好き。など、あらゆる事象を全て、明るく転換し味方に変えてしまう能力。日々是好日。人生を楽しく幸せに生きるコツもここにあるなあと思います。よくぞ耐え抜いてくれた! と右足首に触れて感謝するシーンなど、泣けました。

日々辛いトレーニングと、それに耐える自身と向き合い、自分は何者なのか、どんな才能を秘め、両親から授かった能力を開花するには、どんなことをどれだけやれば、その高みに辿り着けるのか、つけないのか。この正解が分からない神秘に、自分の限界を感じながら、自分を励まし努力し続ける。その姿こそが美しいと思うのです。

これは、スポーツだけではなく、学問にも言えることです。ひとつのことに一生懸命打ち込むことの素晴らしさ、それが尊いことで、そのコーチ、先生は、専門分野の知識やスキルを教えるだけの存在ではなく、それと同じくらい大切な、目標に真剣に向き合う姿勢、挑戦をし続ける情熱、などにエールを送り続け、光となり導くことが、重要なことに思えます。そこにこそ、学生生活、学生スポーツの価値があるのだと思います。

学生は、一つのことを極める中で、多くの人間的な成長を経て卒業していきます。勝っても負けても、涙を流し卒業して行く姿は、一生懸命闘った証です。その経験が社会に出てから、きっと生かされるはずです。これから各地で、感動の予餞会が行われます。卒業生一人一人が挨拶する言葉には、それぞれの苦闘の歴史と重みがあり、後輩たちが涙する姿が目に浮かびます。怪我に苦しみ、レギュラーになれなくても、最後まで努力し続けた先輩など、その生き様そのものが、胸を打ち後輩たちを泣かせます。

そして、オリンピックなどの表彰台では、両脇の敗者への気遣いがさり気なく出来て、優勝インタビューでは、こんな自分をこの世に産んでくれた両親に感謝します!と真っ先に言えて、何度も同じことを聞かれる多くのメディアにも、真摯な態度で最後は頭を下げて、ありがとうございました!がきちんと言える、いつまでも謙虚で、爽やかな、真の勝者が次々と誕生することを願っています。

福島大学川本先生の半年間に亘る講座を受けて、様々なことを学び、感じることが出来ました。心から感謝します。