東京都では、学童クラブの質の向上を支援するために、国の基準を上回る放課後児童支援員の配置や、保護者の多様な働き方に合わせた開所時間の設定などの基準を定めた認証学童クラブ事業を始めました。都独自に定めた運営基準を満たす学童クラブは、公設公営だけでなく、民設民営の学童クラブにも、運営費等の経費を補助することとしており、7月31日時点で調布市や八王子市などで50施設が認証を受けています。
府中市においては、共働き世帯の増加と市の中心部における住宅開発に伴い児童数の増加にどう対応するか、といった課題があります。
今後の学童クラブのあり方について、市の考えを確認したく質問しました。
市では来年度から新たな民設民営学童クラブを設置するとしている。その背景と、設置に向けての詳細は。
共働き家庭の増加や、社会状況の変化等に伴い、学童クラブに対するニーズは高く、特に市中心部にある学童クラブでは、入会児童数が増加傾向で、施設の狭あい化の解消に向けた取り組みが急務となっている。 狭あい化の解消については、学校の教室などを借用することで解消を図っていくが、借用が難しく、狭あい化の解消が見込まれない学童クラブについては、民設民営学童クラブを誘致し、改善を図っていく。
特に第一学童クラブ区域では、今後も多くの住宅開発が進み、児童数の増加が見込まれることから、当該区域における民設民営学童クラブの誘致を優先的に進めている。
現在、入会児童数が超過している学童クラブはいくつあるか。今後の見込みは。
25館中21館。少子化の影響で子どもの数は減少傾向だが、女性の社会進出や共働き家庭の増加に伴い、学童クラブの入会児童数は横ばいを見込んでいる。
人材の確保が課題の一つと聞いているが現状はどうか。どう対策しているか。
退職等により人材の入れ替わりが生じやすく、専門性を高めた人材を継続的に育成することが難しい状況。ホームページやSNSを活用したり、ハローワークの活用や近隣大学への募集広告の掲示などを行っている。
指導員への研修はどうなっているか。時間額制会計年度任用職員や民営の学童クラブの指導員も受けることは可能か。
主な研修として、放課後児童支援員認定資格研修があり、未受講の職員への受講を促している。正規・月額制・時間額制会計年度任用職員、民営学童の職員も受講は可能。 昨年度から、子ども発達支援センター「はばたき」から派遣された相談員による巡回相談を実施しており、発達等が気になる児童に関する相談に応じ、行動観察やカンファレンスを通して、児童との関わり方の工夫や環境面の整備等などの助言を行っている。
府中市では2021年から公設民営の学童クラブの運営が行われているが、その評価は。
14館の学童クラブを民間事業者に委託しているが、毎年実施している保護者アンケートでは、育成や指導面について高い評価である。公設公営学童クラブとの間で、育成の質や内容に差が生じないよう、連携・調整を図る。
民設民営の学童クラブについては、新たに補助制度を創設して進めるとのことだが詳細のスケジュールは。
10月中旬以降に児童の募集を開始し、その後事業者において入会資格の審査を行い、1月下旬に入会者を決定する。
定員を超えた場合は入室できる児童をどのように選考するのか。
定員を超えた入会申請があった場合は、事業者が定めた選考基準で審査する。その決定については事業者の責任に置いて行うので市は関与しない。 9月に行う事業者選定の評価項目の一つに入会基準に関する採点項目があるので、明瞭性、正当性のある基準となっているかどうか、確認する。
東京都認証学童クラブ制度について市としてどのように捉えているか。認証に向けての取り組むことについての考えは。
今年度から運用が始まった東京都認証学童クラブ事業は、区市町村が実施する学童クラブ事業の質の向上を支援することを目的に設置されたもので、児童の健全な育成を推進させる事業として、有効なものと認識ししている。 一方で、国の基準を上回る放課後児童支援員の配置や、面積要件等の基準を定めており、小学3年生までの児童全てを受け入れている府中市の公設学童クラブでは、同事業を活用することは、人材の確保や施設環境の整備などの面から難しい。
現在の公設学童クラブでは「都認証学童クラブ事業」は難しいとのことだが、新たに作る民設民営の学童クラブについては、都の認証制度を満たすことは要件の一つになるのか。
都の認証の要件を満たしている必要はなく、認証の事業を見据えた運営を行うかどうかは事業者の任意となる。
私の意見![]()
多様な学童クラブが今後できることについては、期待したいところでありますが、「狭隘化が進むから」と、慌てて新たに作るという感じで、なし崩し的に進めるのではなく、市として、放課後の子どもたちの居場所の一つとして、計画的に、検証をしながら進めていただきたいと思っています。
今年度から始まった、東京都の認証制度は、児童1人についての面積や、職員体制などが厳しくなりますが、その他にも、子どもの意見を聞く場や機会の創設、多様な活動や遊びの実施、また、昨日も要望が出ておりましたが、長期休業期間における昼食提供の仕組みの導入といったことが求められており、基準を達すれば都の補助金を受けることができます。
すでに、調布市や八王子市、世田谷区、板橋区などで認証されているクラブがあります。
府中市においても、新しく作る学童クラブについては、都の基準にしてほしい。いずれは公設の学童も認証を受けられるように改善してほしいと思います。
非常に厳しい条件ですから、計画的に進めなくては実現は難しいことから、今後の学童クラブのあり方について、目指すところを明らかにした上で、学童クラブの在り方方針を策定し、計画的に進めていくことを求めました。