本題に入る前に近況報告からさせてください。

来月、12月5日(土)から、年が明けて1月31日まで、東京・南青山にあります美容室『NORA HAIR SALON』にて、「映画『えんとつ町のプペル』フィルムパネル展』を開催させていただくこととなりました。




かなり大きな美容室なのですが、その壁に、映画『えんとつ町のプペル』のシーンを切り取ったパネルを、ズラーッと展示する個展でして、こちらは、いつもの個展とは違って、『NORA HAIR SALON』のお客様が対象となります。


展示するパネルは、事前にクラウドファンディングで販売させていただいております。

映画のシーンは、つまるところ「連続写真」ですから、同じように見える絵も、微妙に違っていてですね、すべて1点限りとなっております。

 

興味がある方は、クラウドファンディング「シルクハット」のプロジェクトページに企画が立ち上がっておりますので、探してみてください。

よろしくお願いします。






 

そんなこんなで、今日の本題です。

今日は、「日本中から笑われた夢がある」というテーマでお話しさせていただきと思います。

 

ちょっと前から、「ザ・テレビジョン」で『ゴミ人間』という連載をさせていただいているのですが、早いもので、今回が最終回になります。

今日は、最終回に綴った内容を、(ほぼ読み上げる形で)お話ししたいと思います。

 



ザ・テレビジョンで連載している『ゴミ人間』は、これまでのものをまとめて一冊の本にして、映画『えんとつ町のプペル』の公開1週間前(12月18日)に発売するそうです。

隠したところで隠せないので正直に白状しますが、発売のタイミングからお察しのとおり、これは映画『えんとつ町のプペル』の宣伝なんですね。

 

こうして僕ごときの文章を好んで読んでくださる方は残念ながら少数派でして(好きです。結婚してください)……すっかりお忘れかもしれませんが、映画『えんとつ町のプペル』は、「テレビドラマの映画化」でもなければ、「テレビアニメの映画化」でもなく、「絵本の映画化」で、まだまだ誰にも知られておりません。

YouTubeでライブ配信をしていると、今でも「プペル? 聞いたことないんだけど」とか、よく言われるんですね。

これが現実です。

 




我々のような何の実績もない弱小映画に潤沢な宣伝費は用意されておらず、したがって、「映画公開に合わせて『エッセイ集』を出して、本屋のお客さんに映画のことを知ってもらおう! エイヤー!」という実に涙ぐましい戦略を強いられているわけです。

公開1ヶ月前のこの時期にエッセイを書く時間などないのですが、そうも言っていられないのが弱小映画の製作総指揮です。

零細企業の社長さんには共感いただけると思います(笑)

全部、自分でやらなくちゃいけないんです。


作品を作り、西へ東へ走りまわり、方々で頭を下げ、朝方に眠い目をこすってエッセイの執筆(広報活動)。

 


最近は、朝7時からオンラインサロンメンバーさんとジョギングをしています。



こうした対面イベントを無料で開催してしまうと「東京のサロンメンバーだけズルイ!」という声が上がるので、参加条件を設けています。

参加条件は「映画『えんとつ町のプペル』のムビチケ前売券を持っていること」。ムビチケ前売券が、そのままジョギングイベントの参加券になっているわけですね。

朝まで仕事をして、朝からジョギングをして映画『えんとつ町のプペル』のチケットを売っているんです。

この活動が実を結ぶかどうかは知りません。でも、何もしないよりはマシなので、コツコツやってます。

 

未来を夢見るクリエイターさんが、もしも、この世界に華やかな何かを求めておられるのであれば、早々に諦めてください。

僕が知る限り、ここは年中、泥にまみれています。

大切なのは、「それでも掴みたいものがあるか?」で、僕には、あります。

 


詳しい時期は忘れてしまいましたが、ずっとずっと昔。

 

「ディズニーを超えたい」と言ったら、日本中から笑われました。

とても悔しかったことだけは記憶しています。

 

これ、笑われたことが悔しかったわけじゃなくて、日本人が、「世界を競争相手から外し、それよりもずっと下の世界で生きること」で話を進めていたことが、悔しくかったんです。

 

「なんだよ、それ」って話じゃないですか。

「なんで笑っていられるんだ」って話じゃないですか。

 

僕は子供が好きだから、目標の上限が決まった国を次の世代に渡すなんて絶対に嫌なんですね。

「一生懸命学んで、正しく努力したら、遠くに行ける」という瞬間を見せたいじゃないですか。

「どれだけやっても遠くには行けない」とか言痛くないじゃないですか。

 

そして、表現者として。

本当に「お前、なんで笑っていられるんだよ」って思いました。

「お前のことを信じてくれているファンにお前は、ディズニー以下のエンターテイメントを胸張って届けるのかよ」と。

自分を信じて、ついて来てくれるファン「ディズニーよりはツマラナイものに、貴方の時間とお金を割いてください」なんて言いたくないじゃないですか?

違いますよね。言うなら、「今は、まだ」ですよね?

言わなきゃいけないのは、「いつか一番になる」ですよね?

 

お前がそんなところで折り合いをつけたら、お前を信じてくれているファンがバカみたいじゃないないですか。

「笑うなよ。上限なんか決めるなよ」と思いました。

 

で、早いもので『ゴミ人間』も最終回です。

最後は、挑戦することを選び、しかし、いつまで経っても光が見えず、今この瞬間、もがき苦しんでいる貴方に手紙を書いて終わりたいと思います。

 

 

どうですか? 辛いですか?

辛いですよね。

同世代の成功者が気になりますか? 

気にならないと言ったら嘘になりますね。

「人と比べても仕方がない」と言われても、比べちゃいますよね。

 

どこで差が開いたか考えたことがありますか?

 

もちろん「運」もあると思いますが、ただ、「運」が全てじゃないことぐらい、もう分かっていると思うんです。

 

胸に手を当てて考えていただきたいのですが、

これまで、お金が足りなくて捨てた選択肢がどれだけありますか?

これまで、人が集まらなくて途絶えた企画がどれだけありますか?

たぶん、過去、何度かありましたよね?

これって、「原因が分かっていること」じゃないですか。

 

お金の勉強をしてください。

広告の勉強をしてください。

たった、そんなものに夢を邪魔させてはいけません。

お金の勉強をする貴方を、世間は「銭ゲバ」と言うだろうし、広告の勉強をする貴方を、世間は「作品(商品)のクオリティーを後回しにした者」として扱うでしょうが、怯まないでください。

 



誰よりも届ける努力をして、そして最後は作品のクオリティーで圧倒してください。

才能の違いを見せつけてください。

 

人は、圧倒的な結果を創出する力を「才能」と呼びます。

才能は、「生まれ持ったモノ」でも何でもなく、「挑戦した数」です。

挑戦し、そこで背負った想いや傷の集合体の名前が「才能」です。

 

それを持ち合わせていないのならば、今すぐ手に入れに行ってください。

 

その際、アイデアには決して酔っちゃダメです。

まだまだ知識のない貴方から捻り出されたアイデアは洗練されていません。

それに、そもそも、そのアイデアが世の中にない理由も考えてください。

「世界が必要としているアイデア」を、これまで貴方以外の人間が思いつかなかったわけがないんです。

「あったけど、必要とされずに消えた」と考えた方がいい。

 

アイデアに酔わず、誰よりも手足を動かしてください。

頭を下げてください。

恥をかいてください。

 

貴方には、日本中から笑われた夢がありますか?

僕には、あります。

その夢を叶える覚悟もあります。

貴方にはありますか?
 

映画『えんとつ町のプペル』の公開まで、あと1ヶ月。

やれる努力は全てやります。

背負えるものは全て背負います。想いも傷も恥も。

どうか映画公開までの僕の姿を見届けていただけると嬉しいです。

覚えておいていただけると嬉しいです。

 

そして、次は貴方の挑戦を見せて欲しいです

そうやって刺激を交換し合いながら、同じ時代を生きていきたいです。

頑張りましょう。

 

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