いつも、自分の想いと、恩着せがましいけどスタッフとスタッフの御家族のことを考えて、芸能人生の選択を繰り返してきました。

そして、その選択が、世間が求めているものでなかった場合は容赦なく叩かれました。
頼まれてもいないのに他人の人生に口を挟む人は決して少なくなくて、僕が生きているのは他の誰でもない僕の人生なのに、「その生き方は間違っている」と随分言われたものです。

ぶっちゃけムカついたこともありました。
芸人連中が「ひな壇に出ろよー」とギャーギャー騒いでいた時は、「出る人がいていいし、出ない人がいていいし、僕が出るか出ないかは、僕が決めるよ」と本気で思っていました(これは今も思っています)。

イライラがピークになっていた時に、ナインティナインの岡村さんが『27時間テレビ』と『オールナイトニッポン』で、「『ひな壇に出ない』って一度言うてもうた手前、出るに出れなくなってんちゃう?」という嫌味なコメントを出されて、さすがにブチギレたのを昨日のように覚えています。

誤解がないように、あらためて説明させていただきますが、「ひな壇に出ない」というのは何も、『ひな壇』に出られている方々を否定しているわけではなくて、「僕には『ひな壇』で上手く立ち振る舞う才能がないので、自分が頑張れる場所で頑張らせていただきます」で、背の高い人がバスケットボール部を選んだり、足の速い人が陸上部を選ぶようなことです。

今になって、ようやく少しずつ御理解いただけるようになったのですが、当時は、「西野は芸人のクセに『ひな壇』に出ないイタイ奴だー!国民全員で叩けー!」といった調子でした。

「多様性」なんて、あったもんじゃない。

きっと今も、きっと今日も、どこかで誰かが、あの日の僕のように村八分に遭っていて、「ほっといてくれよ。僕が何をしようが、アンタらには関係ないじゃないか」と吐きながら、悔しくて悔しくて眠れない夜を過ごしているんだろうな。

程度の違いはあれど、僕はその痛みが少し分かるので、あの日の僕と同じ目に遭っている人を、全力で応援したいと思っています。


なかなか直接会うことは難しいので、今の僕が、あの日の僕と同じ目に遭っている人にしてやれることは、「大丈夫。行けるよ」と励ましながら、文章で伴走してやることぐらいで、最新刊の『新世界』でその役目を果たせたら幸いです。

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