にしなか歯科クリニック Blog-semi

元安川沿いの木の葉にセミの抜け殻を見つけました。
この時期,子どもの頃はセミ捕りが日課のような毎日でしたが,羽化する前のセミの幼虫は貴重で,見つけた時には固唾を飲んでその変化を楽しんだものです。
ただよく親からは,「セミは寿命が短いんだから逃がしてやり」と怒られました。
そんなときは決まって
「セミ(幼虫)は土の中で6年間もじっと生きてるんだからいいんだよっ」と口答えをしていました。


じつは,歯も口に中に出てくるまでに顎の骨の中でじっとしている時期があります。
今日はそんな話です。

歯の発育は出生前から始まっていて,顎の骨の中で色々な段階を経てはえてきます。
この成長していく様子は乳歯,永久歯ともに変わりありません。
歯が口の中にはえてくる(萌出といいます)プロセスは,大きく1.成長期,2.骨内萌出期,3.萌出期の3つに分かれます。

1.成長期(歯のはじまり)
胎生(妊娠)約6週で歯の発生が開始されます。
まずはじめに,歯が出てくる歯ぐきの部分の上皮が厚くなってきて,招来,歯の一部になっていく組織に変化していきます。これを専門用語で歯堤といいます。その後,胎生8週頃,歯堤の近くに増殖速度の早い細胞が出てきます。この細胞は歯の卵のようなもので,「歯胚(しはい)」と呼ばれます。
これが「歯」の始まりです。
歯冠 (歯ぐきから出ている歯の部分) がほぼ形作られるのが、この成長期です。

にしなか歯科クリニック Blog-enamel

 
画像図は,Ross, Michael H., Gordon I. Kaye, and Wojciech Pawlina. "Histology: a text and atlas.より引用・改変
 

2.骨内萌出期(歯の形ができつつある時期)
歯が骨の中で硬さを増し(石灰化といいます),口の中にでる準備をしている時期です。

3.萌出期
歯が口の中へ出てくる時期のことをさします。


永久歯は6歳頃に萌出しはじめるので,セミの幼虫と同じように6年程は骨の中でじっとしているということになります。(なお,乳歯は生後6ヶ月頃よりはえはじめるので,永久歯よりもじっとしている期間は短いです)

セミと根本的に違うのは,人の歯の場合には口の中に出てからもずっと生き続けます

ということで,
「生涯,歯は大切にしましょう」-

セミにかこつけた今日の訓話でした。