西方音楽館のブログ

館長と副館長が西方音楽館の魅力をお伝えします


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西方音楽館友の会会報「木洩れ陽の窓から」第15号に掲載した文です。

416日 14:0016:00 作曲家の個展・木下大輔作品演奏会Vol.2 「音楽の旅」

 日本も含め国際色豊かな作品が並び、木下氏の楽想の豊かさを堪能できた「音楽の旅」。

当日のプログラム

[1] ピアノ連弾曲集・音楽の旅

1. 打ち上げ花火―マンハイムの思い出―(2014) 2. 雲(2016) 3. シチリアの旅路(2016) 4. 夕映え岬(2017・初演) 5. 小さなワルツ(2014) 6. こだま号で行こう!(2013)♪坂本陽子、益子徹(ピアノ)

[2] こどものためのピアノ独奏曲 夢のメリーゴーランド(2012・初演) ポズナンの思い出―マズルカ―(2016) 悲しい鳥(2015・初演) アヴィニョンの新しい橋の上で(2017・初演)♪益子徹(ピアノ)

[3] 偏西風―マリンバ独奏のための―(2008) 1. アレグロ・アッサイ 2. カリヨン 3. フラメンコ ♪野中美千代(マリンバ)

[4] こどものためのピアノ独奏曲 シエスタ(2017・初演) 行進曲(2017・初演) ウィーンの夜(2015 風のアラベスク(2016)♪坂本陽子(ピアノ)

[5] 追分―無伴奏チェロのための―(2014)♪渋谷陽子(チェロ)

[6] 夏の旅―立原道造の詩による歌曲集―(20031. 村はづれの歌 2. 山羊に寄せて 3. 田舎歌 4. 墓地の方 5. 夏の死 ♪橋本美香(ソプラノ)、長竹規江(ピアノ)

 

木下氏の作品は標題が付いたものが多く、また作品へのコメントが記してある楽譜もあり、歌曲も含め、音楽が何を表現したいのか、比較的分かりやすい。

 しかし《追分―無伴奏チェロのための―》は、それぞれ異なるホールで、初めて聴いた時も2度目に聴いた時も、難解でつかみ所がないとの印象を禁じえなかった。「人の声に最も近い音色表現性を持つと言われる楽器・チェロ」、具体的イメージは追分=街道の分岐点。虚空を穿つ冒頭の動機、そのあと異なる数種の動機がやや間隔を置いて現れ、それらが変容したり、増幅されたり、時に反行形で繰り返され、最後に再び冒頭の主要動機が戻ってきた時、この度3回目にして不思議な安ど感と共に、衝撃的に音楽が分かったという体験をした。明瞭さを損なうことなく細部まで美しく響き、弦の擦れまで肌に伝わるほどの親密さで音楽を味わえる西方音楽館[木洩れ陽ホール]。木下氏の思い入れが濃厚にあぶり出され、実に奥深い作品であることが分かった。

別けても、追分つながりで、次に演奏されたのは、信濃追分宿でのひと夏の滞在に基づく立原道造の連作詩《夏の旅》に作曲した歌曲。避暑地の夏の清々しさと繊細な若者の心の機微を、「明るい調性を基底にしながらも、変化和音・変化音階・転調を多用したヴォキャブラリー」で、色彩を微細に変えながら「歌とピアノが溶け合い響き交わす」。人は旅人、人生は旅にも譬えられる。街道の分岐点追分は、分かれ道。人との別れ、人生における二者択一の選択、それゆえの悲哀や失敗など、人生には悲喜こもごも混ざり合う。

 追分―無伴奏チェロのためのーには、言葉化し難い、そんな深い意味も込められているのではないだろうか。             

 (中新井 紀子「 」内は、木下大輔氏の言葉)

 

 

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