西方音楽館のブログ

館長と副館長が西方音楽館の魅力をお伝えします


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 西方音楽館副館長 横山博でございます。

 木洩れ陽ホールは永田穂氏による音響設計で、小スペースながら残響の豊かな本格クラシックホールです。間違いなく栃木県内では最も音響の良いホールの一つでしょう。

 先日5月30日、福田重男トリオのジャズコンサートが西方音楽館木洩れ陽ホールで行われ、リハーサルを聞かせていただきました。クラシック専用ホールでジャズの演奏(ドラム、ベース入り)がどう響くかに大変興味がありました。リハーサルの最初のほうでは、私の耳には端的に大音量すぎると感じました。ピアノの蓋は全開、ドラムの奥平真吾さんは「普段の4分の1のボリュームでやっている」と仰っていました(上村信さんのベースは良く鳴っていて「迫力がある」方向に役立っていました)。中新井館長のアドバイスでピアノの蓋を半開に、ドラムセットの下にカーペットを敷いてもらうと、次第に音量のバランスがとれてきて、シブい路線で非常に美しく響いていました。福田さん曰く「ピアノの音量に皆合わせているから蓋が全開だと他の二人もつられて増幅されていく。」恐らくジャズの方たちにとって、「音量」での表現は重要ではなく、「和声」「リズム」の細部の方が優先で、より関心があるように見えます。ですから、いつも木洩れ陽ホールで問題になる「豊かすぎる」音響にも適宜柔軟に対応されていました。

 私はピアニストから出発して、現在はチェンバロ、クラヴィコード奏者としても活動しています。いつも不思議に思うのは「なぜモダンのピアニストは練習の時、蓋を閉めて練習するのか」ということです。チェンバロで蓋を閉めて練習するということはあり得ません。それは「音量」が小さいからではありません。蓋を閉めると「音色(倍音)」が聞き分けられないからです。クラシックのモダンピアニストはpp p mp mf f ff クレッシェンド、デクレッシェンドと音量の割り振りを初歩の段階で教わり、それを基に楽曲の「表情」をつけることに慣れています。「音色」と言われてもはっきりせず、ソフトペダルなどでコントロールしがちなのが正直なところではないでしょうか。私が学生時代に数回レッスンしていただいた某先生は「譜面台の方の蓋も閉めて練習する」と言っていました。なぜかと質問すると「自分の音をよく聴くため。うるさいから。本番の時に開放感が出るから 」だそうです。自分でうるさくても他人が聞いたら「迫力がある」ということになるのでしょうか。私は小さい時から「全開派」で家族からは煙たがられましたので、遠慮しながら控えめに練習していました。音色への感度はそれで少し養われたのかもしれません。音色とアーティキュレーションだけで勝負できるクラシックのモダンピアニストは果たして日本に何人いるでしょう。

 家では蓋を閉めて、本番は全開という常識をもう一度考えてみる必要があるのかもしれません。

 関係ありませんが、私がチェンバロを教えている生徒の一人は家にチェンバロはないので、家のピアノでは「椅子を右にずらして、オクターヴ上で練習する」そうです。これはやってみる価値がありそうです。
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