先日、居酒屋さんでお食事をしていた時のこと。
当社の若手君が注文用のタッチパネルをつつきながら「酒のさかな~~って言っても、刺身くらいなのかな~~?」っと独り言。
わたしは「うん?あなた・・酒のさかなって魚だと思っていたの?」と聞くと「はい!そうです!」と答えました。
酒のさかなが魚のことを意味するのは間違いではないのですが、もともと日本人は魚は「うお」と発音していました
では酒のさかなの「さかな」って何なのかといいますと、本来は「酒菜(さかな)」で、お魚はむろん、漬物や他の野菜全般をおつまみとしていたので、酒菜と言ったのです
では「酒(さけ)」とはどんな意味をもって名付けられたのかということも季節柄お話してみますね!
「酒」とは「咲く」を語源としており、咲くとは「裂く」の意ですから、暖かい季節の到来とともにつぼみが「裂く」つまり開花するという意味へと繋がっていきました!
春といえば「桜」ですよね!
桜は奈良時代までは「さの神(山々から里人を見守るご先祖神)が宿る御神木」として、さの神さまが山から下りてきてそこに暮らす木なので「さ暮ら」と呼ばれました
さの神様が「よ~~~し!皆々様!そろそろ今年の農作業開始ですぞ!」というサインが「咲く」という現象として捉えられていたのです
先人は、皆でお酒を振る舞いながら、酒菜とともに先祖神が宿る木のふもとで「今年もご近所みんなで頑張りましょう!」という団結会を催します
これがお花見本来の意(こころ)です
寒い冬・・・家に閉じこもりがちな時間が多かった先人にとって、春の到来を告げるさの神さまの開花は、まさに心張り裂ける心境だったことから「咲く」と言ったのでしょう
酒宴の終わりは、仕事始めの合図であり、また桜が散りゆく様は、さの神さまが山へと戻っていく光景とも重なりました・・。
これが「去る」という言葉を生み出しました・・・。
現在でも古来の葬祭式を司る私たちは「亡くなる」とは言いません。
必ず「隠れた身・・・つまり隠身(=神)去り給う」と奏上するのも、ちゃんと遠い昔のじじばばから声なき声として繋がっている由縁なのですネ