少し時間をかけて、ゆっくりと心に落としながら読んだ。
読み終わって、両手で本をぎゅーっと握って、
それから本を包むように撫でた。
酒井さんは私の恩人です。
寄り添い続けてくれた方。
『酒井さーん』と私がヘルプを出せば、
スーパーマンのように『どうした!』と駆けつけてくれる。
ヘルプを出さなくても、感じ取ったように絶妙なタイミングで連絡をくれる。
いつも頼って、頼りっぱなしで私が酒井さんの力になれたことなんて一度もない。
だから私が酒井さんを抱きしめる、なんて到底出来っこなくて、でもその事にいつも情けなさを感じてて。
だから、この本をぎゅーっと両手でしっかりと握り、撫でた。
本を抱きしめる、ってことも私には出来ないような気がして、その代わりに、せめてもの思いで。