母と私と息子の平和な三人暮らしの中、
母と離婚した父から15年振り位に連絡があり、
また親子と、そして孫の平凡だけど楽しい交流がこれからも続くのかな?と、思っていました。
すごく充実して楽しかった日々でした。

  もうすぐ息子の入学式と父の誕生日です。
病院から呼び出しがありました。

  『寿司ご馳走してやる』と、呼び出され
『病院まで送ってくれないかな?』と。
検査入院だそうで、快諾して
美味しいお寿司を食べたのが一週間前でした。

  先生のお話を父と私と息子で聞いたのです。
今思えば、息子は保育園へ預けてくるべきでした。

  ALS(筋萎縮性側索硬化症)の告知でした。

  今日、父の誕生日なのに父は
『もう充分生きた。殺してくれ。』と、
歯をくいしばり先生へ懇願したのです。

    病室へ戻ると夕食で、お膳には
『ハッピーバースデー‼』とカードが飾ってありました。

  このカードは、その最後の日まで
父の枕元へ置いてありました。

  桜の綺麗な季節でした。
私には全部灰色になりましたが。