第016話 『地上へ99マイル』(Aパート)
地底怪獣 シェルダース
もし、ウルトラセブンの最終回のあと、
TVでゾフィが始まっていたら?の妄想ストーリーの第016話。
民間の地底探検車が、地中で遭難してしまいました。
USTは新型地底戦車で、救助に向かいますが…
【UST=防衛チーム】
ユルガ(隊長)
ゴウリ
ナワテ
ユリコ
ヒデコ
クロス
【IDM=地球防衛機構】
(Bチーム=情報技術班)
シズカ(班長)
ユウキ
ドノバ
アカイ
リオ
ユウ
カジ(UST参謀)
マキノハラ(科学センター・所長)
【その他・ゲスト】
皮地涼平 (地質調査隊・隊長)
秋田(隊員)
佐田(隊員)
山本(隊員)
大村(隊員)
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【極東基地上空】
テスト飛行で飛んでいる、新型ジェットヘリ≪エスコルビーダー≫試作機。
快調に飛び、機銃、ロケット弾で、目標を破壊します。
ゴウリ
「こちらゴウリ、≪エスコルビーダー≫01。
良い感じですよ。
操縦しやすいし、この状態でペイロードも良い。
速度のいらない通常対応なら、むしろこれで充分です。
音速の割には、運動性も良いし。」
ヒデコ
『こちら作戦室、了解。
次は撃ち尽くした状態で、お願い出来ますか?』
ゴウリ
「了解、もう、ひとっ風呂だな。」
ヒデコ
『いや、そんな妙な、符丁は良いですから。』
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【UST作戦室】
スクリーン上に映っている、新型ジェットヘリ≪エスコルビーダー≫の飛行の様子。
マキノハラ
「≪エル・グランザー≫に続いて、
こっちも、良い感じみたいじゃないか?」
ナワテ
「お陰様で。
まあ、ベースがヘリですから、それほど変わった事はしていません。
この後の、ドッキングアウトが、問題ですが…
どうしました?」
サブのモニターを見ていたマキノハラ博士が、顔を上げます。
マキノハラ
「いやあ。
知っている研究者、なんだがね。
どうやら、地底探検を実現するらしい。」
サブ・モニターに、流れるニュース。
それは民間の研究所が中心になって作った地底探検車が、いよいよ地底探検に出ると言う物でした。
カジ
「ああ、お知り合いだったんですか。
どうやらそれ、バックについてくれた企業があったらしいですね。
ちょうど、有力な鉱山候補だとかで。」
ユルガ
「危険は無いんですか?」
マキノハラ
「そりゃ無いとは言えんよ。
前例の無い、未知に挑むんだ。
だがね、皮地君は妙におおらかで、楽天的なところがった。
研究者としては、妙に応援したくなってね。」
ユリコ
「楽天的って…
研究室でなら良いですか、地底探検で大丈夫なんですか?
探検と言えば、慎重さや冷静さも大切でしょう?
うっかりミスや、ポカが無ければ良いんですが…」
マキノハラ
「そこは、まあ…
わしも多少心配しとるが。
ま、まあ、周りには、慎重な者もいるだろうし…」
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上和露市(かみわろし)南西にあった、小規模な鉱山、葉希和(はきわ)
この葉希和鉱山(はきわこうざん)採掘中に、これまでとは違う銀、ニッケル等が、比較的多く含まれた地層が発見されます。
もっと地下に、別の鉱脈があるのではないかと期待され、本格的な調査隊を編成して、掘り進みながら調べる事になり、
新型の地中探索車で、出発する事になったのです。
【葉希和鉱山(はきわこうざん) 地上】
数人の作業員・関係者に見送られて、地底掘削探検車がスタート。
地面に潜って行きます。
皮地涼平(地質調査隊・隊長)
「行ってまいります!」
土煙を上げ、地面の穴の中へ、姿の見えなくなる、地底探検車。
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【葉希和鉱山(はきわこうざん) 地下】
秋田
「快調ですね。
層が変わりませんが、この調子なら、まだまだいけそうです。」
佐田
「思った以上に、放熱も上手く出来ている。
硬い岩盤が無いのも幸いですが。」
皮地
「そうだね。
想像以上に、問題無いよ。」
山本
「あまり楽観視、しないで下さいよ。
ここまでは、うまく行っていると言うだけですから。」
大村
「深度、2000mに達します。」
皮地
「適当なところで、成分分析を頼むよ。
そっちが本業だ。」
秋田
「了解。」
約2000mほど潜ったところで、地中の空洞部に出、周囲ではやはり、ある程度の鉱石の反応を確認します。
地下空洞はいくつか分岐しながら、さらに下方に伸び、調査機器では、下方からレアメタル反応がすると言う事で、
空洞内をどんどん下降して行きます。
が…
秋田
「なんか…傾斜が徐々に、急になっています。」
山本
「ブレーキが利きません。
斜面が急で、ブレーキが利かないとか…
こう言う事態は…ちょっと想定していなかった。」
次第に傾斜は急になり、途中からはほとんど滑落状態で制動が効かずに、さらに地下深くに落ちていってしまいました。
山本
「深度、2200…2250…2300…2350…
まずい。
全然、止まる様子が無い。」
大村
「まさかこのまま、地球の中心まで、穴が続いてるわけじゃないだろうから。
どっかで、止まるとは思うけど。」
秋田
「冗談じゃないぞ。
止まっても、帰れなければ同じだ。」
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【UST作戦室】
入って来る、カジ参謀。
カジ
「まずい事になった。
心配が当たった。
例の地底探索車が、遭難した。」
ユルガ
「遭難!?」
カジ
「葉希和鉱山(はきわこうざん)地下30キロ前後で、ほぼ消息を絶った。
まだまだ沈んでいる、可能性もある。
いや…多分、沈下しているだろう。
微かに、断続的に、通信電波は傍受出来るのだが、会話は不可能と言う状態だ。」
ナワテ
「ち、ち、地下30キロですって!?
ありゃ2000~2500メートル程度の層の、調査予定だったんじゃないですか?
4倍程度までは、想定していたはずですが…
何がどうなったら、10倍以上の深度に潜れるんです?」
カジ
「聞き取れた範囲の報告では、どうも地下に、巨大な空洞や斜面があったらしい。
その傾斜路にはまってブレーキが利かず、どんどん落ちて行ったらしいんだ。」
マキノハラ
「何て事だ。」
カジ
「探索車自体、本来は最深度探索を売り物にしていた。
それが落ち込んで遭難となると、民では救助出来る、組織も設備も無い。」
ナワテ
「わかりました。
それで我々に、白羽の矢が立った。
地底戦車≪エルグランザー≫の、出動と言うわけですね。」
マキノハラ
「皮地くんか…。
研究熱心で気さくな男だが、やはりちょっとのんきで、迂闊なところがあったからなぁ。
まあ、何とか助けてやってくれ。」
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【極東基地 地下格納庫内】
ユルガ
「と言うわけで、
民間チームの人命救助で、出動する事となった。
こう言っては何だが≪エル≫の初陣としては、ちょうど良い任務と思う。
戦闘を伴うような直接の危険はなさそうだし、調査グループも戻れなくなっているだけで、早急に命の危機にさらされているわけではない。
ただ、どんな危険やイレギュラーがあるかは、実際に行ってみない事にはわからない。
落ち着いて速やかに、任務を全うしよう。」
ゴウリ、ナワテ、ユリコ、ヒデコ、クロス
「了解!」
一礼し、≪アーク3号≫に乗り込む全員。
そして地底戦車≪エル・グランザー≫が、下部コンテナに収納されて行きます。
ハッチが閉まり、アームが外れると、ゲートが開いて行きます。
地下格納庫内の通路を、移動していく≪アーク3号≫。
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【多良岬の岩棚、三迫の入江】
岩棚が開いて、発進リフトがセットされ、
灯台に続く防波堤がスライドして、滑走路が現れます。
灯台がそのまま下がって、赤い光が青になると、
エンジンを点火して、飛び立ってゆく≪アーク3号≫。
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【UST作戦室】
マキノハラ
「なんだか、なんとなく、すまんのう。」
カジ
「博士がすまながる事、無いじゃないですか?」
マキノハラ
「いや、そうなんじゃが…
何となく他人事と、思えんでな。」
シズカ
「お気持ちは、ちょっとわかります。」
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【葉希和鉱山(はきわこうざん)】
目標地点に、≪アーク3号≫が着陸し、コンテナが開いて、地底戦車≪エル・グランザー≫が発進します。
ナワテ
「行って来ます!」
ヒデコ
「くれぐれも気をつけて!
何かあったら、すぐ連絡下さい。
そうでなくても、定時連絡は絶やさないで!」
ゴウリ
「わかってるって!」
USTからは、ヒデコ隊員を抜かした5人が≪エル・グランザー≫に乗り、≪アーク3号≫はそのまま地上のベース~
地上班として、ヒデコ隊員とBチームの、ユウキ、アカイ、リオの3名で、地上に残る事になります。
リオ
『任務終了までは我々がここで、シフトBで待機し続けます。
(1人6時間で、常時2名勤務。3時間単位で、1人交代。)
定時連絡以外でも何かあったら、いつでも連絡下さいね。
わかる事は、こちらで何でも調べます。』
ユルガ
「了解だ。上は任せたよ。」
適当な山肌を選ぶと、≪エル・グランザー≫は地中潜航を開始します。
≪エル・グランザー≫は、マグマライザーの後継機として、ベルシダー、マグマライザーの設計をベースに、まず試作型の、≪モル・グランザー≫が作られたあと、マグマより一回り大きい機体で作られました。
機体が拡大した分行動範囲が広がった他、地中での運動性も上がり武装も多少増えました。
前面に、巨大なドリルを持っている点は同じですが、ドリルで直接掘り進むのではなく、ドリルの回転によって半球型の破砕フィールドを作り、それで岩石等を分解して掘り進みます。
この技術は、≪アーク2号≫にも応用され、≪アーク2号≫の地底移動は同じシステムですし、宇宙空間の航行中にもフィールドを展開して、スターダストなどを破砕排除して飛行します。
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【葉希和鉱山(はきわこうざん)地下 USTサイド】
探検車の位置は、≪エル・グランザー≫からも≪アーク3号≫からも、大体わかりますが…
ナワテ
「こちら、≪エル・グランザー≫。
現在、順調に目標に接近中ですが、目標の深度が…」
ユウキ
『ええ。
どうも、さらに徐々に下降して行ってるみたいですね。
左右の位置も動いています。』
クロス
「どう言う事でしょう?
確かに、その場で待ってるとは、言いませんでしたが。
救助要請しておいて、移動する物かな?」
ユリコ
「泥層か砂層にはまってしまって、流されている可能性は?」
ゴウリ
「まさか、どうせ助けてもらえるんなら、この際、もっと先まで探検しようなんて事じゃ…」
ナワテ
「うっ!?
い、いや、いくら楽観的な研究者とは言え、そこまで自由な行動は…」
ゴウリ
「お前、今、~自分も同じ事、思いついたらやるかも?~と思ったろ?」
ナワテ
「な、何をおっしゃいますか!
やだなあ…。」
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【地下 探検隊サイド】
その頃、探検車は地底を微速で、移動し続けていました。
少しでも地上へ近づこうと、ようやく平坦な空洞に出ますが、上への道を見つけられないまま、
地底グモに襲われて逃げるうちに、再びすり鉢状の穴へ、落ち込んでしまったのです。
さらに落ちた地底で、再び開けた場所に出ると、壁が希少金属であるバールナイト鉱を含む鉱脈で、
一同は不幸中の幸いとばかりに喜びながら、一部を削り取りますが、洞窟の奥から怪獣が現れ、こちらに近づいて来てしまいます。
秋田
「こっちに、向かって来ていませんか?
逃げましょう。」
皮地
「残念だなぁ。
せっかくこんな貴重な鉱脈を、こんな深部で発見出来たのに。
本当に我々に、気がついているのか?」
山本
「気がついてるでしょう!
今は逃げましょう。
怪獣が去ったら、また来ればいいんですから!」
皮地
「でもなぁ…
こんな地底の巨大な生物が、我々を視認…」
秋田
「いいから、逃げるんですよ!」
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