2階にあたる船楼甲板の受付けでチケットを買い、通路案内に従って展示や船室、ブリッジ、操舵室、車両甲板などが見学できる。
わたしはブリッジや操舵室にはそれほど興味はないが、列車の固定器具や機関部なんかには魅かれるものがある。
スチームパンクっぽいというのだろうか。
見学者がほとんどいないので静かなのも良かった。
1階の車両甲板には当時の列車が展示されている。
鉄道には詳しくないので、昔見たり乗ったりしたことのある列車だなぁとの感想くらいしかないのだが、ある種の墓場感があるのは好き。
子供の頃、こんな感じの夜行列車に乗った記憶がある。
まだ小学生になる前だったと思う。
母親と3つ下の弟が前席に座り、わたしは知らないおじさんの隣に座らされて酷く心細かったことを憶えている。
夜なのに、おじさんはサングラスをかけていたのが怖かったのかもしれない。
そして列車が走り始めるとおじさんは、紙袋から今は見かけない細い缶のコカ・コーラを取り出してわたしに無言で渡した。
もらっていいのか母親に声をかけようとすると、おじさんは人差し指を口に当てて言うなと。
わたしはどうすればいいのか迷ったが、飲まないのもいけないことのような気がして、人生初のコカ・コーラに口をつけた。
凄まじい炭酸の刺激に1/3ほども飲むことが出来ずに、残ったコーラをどうしようかと考え込んでしまった。
それからどうしたのかは記憶にないが、多分寝てしまったのだろう。
そんな物想いにふけっていても誰も来ないのだから、ここを維持運営していけるのだろうかとふと思った。
車両甲板は結構な寒さだったが、居心地の良い空間だった。
このウルトラ警備隊のマークのようなデザインは、とてもいいと思う。
JRも真ん中のNをとってそのままシンボルマークとして使えば良かったのに。
まあ負債まみれの国鉄のイメージを一新したかったのかな。
あ、そうそう蝋人形のお話しでしたね。
散々引っ張っておいて忘れるところだった(笑)
船室の展示物に戦後の青森の庶民の暮らしを再現したコーナーがあるのですが、その人形が怖いわけですよ。
なんというのか、少しデフォルメされているのですがリアルでそして古びている。
その場面に合わせた方言の音声がエンドレスで流されており、どうも人形が動くんじゃないかと感じてしまうんですね。
何より誰も人がいないから余計に怖いのですよ。
資料的なものなので興味があって見たいのですが怖い、人形恐怖症にはなかなか辛いものでした。
人が大勢いたらまた違ったのでしょうけれども。
ただし歴史的な文化資料としては良いものだと思いますので、皆さんも是非一度足をお運び下さい。
これがトラウマになって人形恐怖症に・・・
それはともかくとして、御時世とはいえ人が少ないのは、ちょっと不思議で何とも郷愁を誘うものでしたね。
人っ子一人いない連絡通路
感傷だらけと歌われた青森駅
今回の旅のお話しはここまでです。
またいつか旅をすることがあればと思っています。
自由が謳歌できる間にね。
何とも辛く苦しい一年だったように思いますが、世界が無価値だと感じないようになることを願っております。
それでは皆さん良いお年をお迎えくださいませ。
一年お付き合いいただき、ありがとうございました。












