令和元年7月24日の講演会です。急性冠症候群は時間との戦いです。初期治療としてPCIが

施行された患者における病院到着からPCI施行までの時間と死亡率の関係は、60分以内にPCIが施行された患者は死亡率4.2%ですが、151~180分の間にPCIが施行された患者は死亡率8.7%です。実に倍以上の差があります。

 

JACO東京メディカルセンターでは、2018年1月からは、DTB平均102.3分 平均発症再灌流時間225.0分とのことです。

しかし、ACSの診断を見逃してしまったり、患者様がすぐに病院を受診しない場合は当然予後は悪くなります。

 

ACSの診断を見逃す場合として

1,心電図を取らなかった→非典型的な症状

  • 高齢
  • 女性
  • 糖尿病
2,心電図を見慣れていない
  • 徐脈症例
  • 下壁、後壁梗塞
3,初期対応が循環器科医でない
4,病態が複雑な場合
  •  VT/VF/AV blockを合併
患者様の受診が遅れる場合として
  • 特にいつ行ってくれと言われなかった/言われたのを忘れた
  • すぐに行ってくれとは言われなかったから用事を済ましてからきた
  • そんなに深刻だとは思わなかったから仕事を済まして夕方(当直帯)になってからきた
せっかくACSを疑ってもすぐに医療機関に行かないために予後が悪くなるのはなんとももったいない話です。気をつけなければなりません。
 
また、高齢者のACSは無痛性の場合も多く80代では二人に一人は胸痛が出ないとのことです。吐き気、元気がない、倦怠感がACSの症状である場合もありますから心電図を積極的に取る必要があるとのことです。
 
しかし、連続的に心電図を取っていてもAMIを見逃す可能性があり、トロポニンもAMIを否定することはできないので、ACSを疑ったならば、とことん疑うことが必要でしょう。ACSを疑った患者様がACSでないことは恥ではなく、ACSを見逃すことが恥と心得るべきでしょう。