畏くも天皇陛下におかせられましては本日、ご即位から1年をお迎えになられました。

「平成から令和へ」
改元という「時空の更新」と共に仰ぎ奉った新皇陛下のご即位に、新しい時代と世紀の始まりを感じられた方も多いはずです。
昨年5月1日の「即位後朝見の儀」で、「国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、象徴の責務を果たす」とお誓いなさり、10月22日にはご即位を公に宣せられる「即位礼正殿の儀」に臨まれ、11月の「祝賀御列の儀」や、皇宮前広場で行われた「国民祭典」にて、皇后陛下におかせられましては御涙をお見せになられるご様子を拝することもございました。

輝く新時代、新世紀の到来を告げ、歓喜と奉祝に包まれた令和の聖代。
その1年目に「新型ウイルスと人類の戦い」という大きな試練に向き合っています。
この「新型ウイルスと人類の戦い」は「人々の魂に触れる懸命な努力」となり、人類文化の一大転換点となる歴史的な「創造的動乱」たる未知数の可能性を秘めています。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う現代の思想、現代の文化、現代の風俗、現代の習慣に対する人類的見直しが求められているともいえるでしょう。
「家にいよう」という合言葉で、これまでの日常のライフスタイルとは違う非日常的な毎日を過ごしている私たちに、今や人類社会全体の精神的様相をあらためる一人ひとりの努力が求められているといっても過言ではありません。
この非常時を単なる「疫病による災厄」だけに終始しないためにも、この「コロナ中」の現在をまさに人類の新しい時代と世紀へ向けての、より深く、より広い新たな発展段階へと準備する基礎作りの好機に転じていかねばなりません。

令和の聖代における最初の新年を迎えた今年から数えて20年後には紀元2700年という輝かしい年を迎えます。
そんな記念すべき今年にこの新型コロナウイルスが襲来したことは、それなりに意義深いことであるのかもしれません。
今年の紀元節には「日本学会」アピールに基づく「平和・文化・教育」 活動を中心に展開する「新しい日本の世紀プロジェクト(Project for the New Japan Century, PNJC)」を呼びかけました。
このプロジェクトは、「日本学会」アピールに賛同し、明治・大正・昭和の三大聖代を日本の世紀となぞらえることにあやかり、令和の聖代を「新日本世紀」と仰ぎ、国体の本義の理念を基調に平和・文化・教育の運動を多角的かつ広範に展開するという一点で手をつなぎ、人類普遍の伝統と古典の哲学を探究し、平和のための臣民の道の連帯を世界に広げ、人類的諸課題解決のため、公共的役割を果たしていくため、一人ひとりができる、あらゆる努力を、いますぐ始めることを訴える国民的共同と国際的共同をすすめることを目的としています。

至福の喜びと奉祝のご即位からちょうど1年の今日。
紀元2700年へ向けての日本の新世紀である令和の御代に迎えた「新型ウイルスと人類の戦い」に伴う人類文化の転換点という世界的な過渡期が重なることに、何か深い想いが致します。

天皇皇后両陛下には、現下新型コロナウイルスの影響で、ほとんどのご公務が中止や延期となっているこの非常時に、感染拡大を深く憂慮され、早期の終息を願っておられるといいます。
3月には御文書にて「さまざまな困難や苦労に深く思いを致している」と国内外の人々に深き大御心を垂れさせ給う聖慮のほど、拝すだに畏き極みでございます。

ここで私たちが「日本学会ベーシック」と呼んでいる「学会」の公式テキストのひとつである「国体の本義」の一節をご紹介します。
少々長文で読みづらいと思いますが何卒お目を通してくださればと思います。

**国体の本義【第一 大日本国体より二、聖徳から】
天皇の、億兆に限りなき愛撫を垂れさせ給う御事蹟は、国史を通じて常にうかがわれる。
畏くも天皇は、臣民を「おほみたから」とし、赤子と思し召されて愛護し給い、その協翼に倚藉して皇猷を恢弘せんと思し召されるのである。
この大御心を以て歴代の天皇は、臣民の慶福のために御心を注がせ給ひ、ひとり正しきを勧め給うのみならず、悪しく枉れるものをも慈しみ改めしめられるのである。

天照大神が、皇孫を御降しになるに先立って、出雲の神々の恭順を勧め給う際にも、平和的手段を旨とし、大国主ノ神の恭順せられるに及んで、宮居を建てて優遇し給うた。
これ、今日まで出雲大社の重んぜられる所以である。
かかる御仁愛は、皇祖以来、常にこの国土をしろしめす天皇の御精神であらせられる。

歴代の天皇が蒼生を愛養して、その衣食を豊かにし、その災害を除き、ひたすら民を安んずるを以て、天業恢弘の要務となし給うたことは更めて説くまでもない。
垂仁天皇は多くの地溝を開き、農事を勧め、以て百姓を富寛ならしめ給うた。
また百姓の安養を御軫念遊ばされた仁徳天皇の御仁慈は、国民の普く語り伝えて頌え奉るところである。
雄略天皇の御遺詔には、
 筋力精神、一時に労竭きぬ。此の如きの事、本より身の為のみに非ず。たゞ百姓を安養せむと欲するのみ。
と仰せられ、又醍醐天皇が寒夜に御衣をぬがせられて民の身の上を想わせ給うた御事蹟の如き、後醍醐天皇が天下の飢饉を聞召して、「朕不徳あらば天予一人を罪すべし。黎民何の咎有てか此災に遭ふ」と仰せられて、朝餉の供御を止められて飢人窮民に施行し給い、後奈良天皇が疫病流行のため民の死するもの多きをいたく御軫念あらせられた御事蹟の如き、我等臣民の斉しく感泣し奉るところである。

天皇は億兆臣民を御一人の臣民とせられず、皇祖皇宗の臣民の子孫と思し召させ給うのである。
憲法発布勅語にも、
 朕我カ臣民ハ即チ祖宗ノ忠良ナル臣民ノ子孫ナルヲ回想シ
と仰せられ、又、明治天皇は明治元年維新の宸翰に、
 朝政一新の時膺りて天下億兆一人も其所を得ざるときは皆朕が罪なれば今日の事朕躬ら身骨を労し心志を苦め艱難の先に立ち列祖の尽させ給ひし蹤を履み治績を勤めてこそ始めて天職を奉して億兆の君たるところに背かざるべし
と仰せ給ひ、御製に、
 みちみちにつとめいそしむ国民の身をすくよかにあらせてしがな
とあるを拝誦する時、親の子を慈しむにいやまさる天皇の御仁慈を明らかに拝し奉るのである。
維新前後より国事にたおれた忠誠なる臣民を、身分職業の別なく、その勲功を賞して、靖国神社に神として祀らせられ、又天災地変の際、畏くも御救恤に大御心を注がせ給うた御事蹟は一々挙げて数え難き程である。
更に民にして行を誤った者に対してすらも、罪を憐む深き御仁徳をもってこれを容し給うのである。

天皇陛下は御身そのまま皇祖皇宗でいらっしゃいます。
ご即位から1年となる今日にあらためて畏みて大御心を奉体し、和衷協力、もって万世不朽の臣道を完うしましょう。

天皇陛下のお治めになる御代は、千年も万年も続いてお栄えになりますように。

国体を明徴にし、国民精神を涵養振作するという一点で手をつなぎ、肇国の由来を詳らかにし、その大精神を闡明すると共に、国体の国史に顕現する姿を明示し、進んでこれを今の世に説き及ぼし、もって国民の自覚と努力とを促すため、一人ひとりができる、あらゆる努力を、いますぐ始めましょう。

「国体の本義、いまこそ旬」
「国体の本義、臣民の道、明日と未来をつむぐ」
「新しい日本の世紀、紀元2700年へ!」
想いを共に

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