島根の和紙と神在月(島根前篇) | 日々のこと  

島根の和紙と神在月(島根前篇)

みなさまこんにちは!
そしてお久しぶりです。
スタッフのヤマサキです。


先日のことですが、島根県に行って来ました。
そのときのことをお伝えしたいと思います。


日頃、私たちはニッポンのスグレモノをお伝えするのを仕事としています。
伝統工芸品から民芸品、文房具や食品など、
お取扱いさせていただいている商品はほんとうに幅広く、
お客様にきちんとご説明できるよう、日々の努力が欠かせません。


商品知識は作り手の方のお話を直接聞くこともあれば、
カタログを熟読したり、メーカーさんによっては
ホームページがあったりするので、そこから学んだりもします。
それはそれとして大切なことです。

その一方で、ものつくりの現場を実際に訪れ、
作り手さんと直接お話をしたり、ものつくりの現場を見ることも
大切だと思います。


日本百貨店が掲げる、『 体験・体感 』を
島根ではたくさん感じてきました。

日本百貨店とは直接に関わりのない作り手さんがほとんどでしたが、
「特別篇」としてお読みいただければと思います。


島根でまず訪れたのは斐伊川和紙です。
ひいかわわしと読みます。

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元々、斐伊川沿いの奥出雲地方では、
多くの紙漉き業を営む職人が暮らしていたそうですが、
今では一戸のみとなり、七代目にあたる
井谷さんの工房を訪れ、見学させていただきました。


アトリエには和紙でできたバッグや座布団、わらじなどがあり、
どれも魅力的できたが、最も人気のあるのは
和紙そのものなんだそうです。
和紙を作るまでの過程にはご家族で取り組んでいますが、
漉き手は井谷さんお一人なので、
注文に応じるだけでも大変ということでした。
それほどに井谷さんの和紙を求める方が
たくさんいらっしゃるということなのでしょう。


井谷さんに斐伊川和紙の特徴について尋ねると、
「特徴?よく訊かれるけど、特徴は自分自身」と
禅問答のような答えが返ってきました。


お話をよく伺っていくと、言わんとすることが
少しずつ伝わってきました。


紙を漉くという行為には、漉く人のことが
どうしても表われてしまう。
だから、特徴は良さも悪さも含めて自分自身。
それを気に入ってくれるのか、そうでないのかは
使う人にまかせるということのようでした。


判断は人任せ、と言えるかもしれませんが、
井谷さんは、自分にできることはとことん突き詰める。
和紙を漉くという行為の一つ一つの行程に対し、
職人としての仕事に絶対の自信があるからこそ
「出来上がりを見て判断してほしい」と、
一見、突き放したような言い方をする。


それは、職人としての自分にできることはすべてやった。
出来上がった作品としての和紙を気に入るかどうかは
人の好みのことなのでどうこう言えることではない。
そのような達観した心境からの言葉だったのだろうなと
なんとなく感じました。


井谷さんは鋭い眼光と、ハッキリとものを言うお人で、
はじめは少々圧倒されるような印象でしたが、
訊けば何でも親切に答えてくださるし、
言葉だけではなく、手間を惜しまず
和紙の原料である楮(こうぞ)の木を
畑まで案内してくださったり、
さらには紙漉きの作業を丁寧に実演してくださったりした。


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どんなことにも手を抜かない。
井谷さんの心意気を感じた。
そしてその一連の井谷さんの佇まいには、
自分自身の仕事などへの取り組む姿勢を
大いに省みる良いきっかけになりました。


きちんと向き合っているか。

やるべきことをきちんとなし、

自信をもてているか。


もっと背筋を伸ばす余地はあるな。
そんなことを思わせていただいたことに感謝します。

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井谷さんは和紙の可能性を広げるために、
柔軟な発想でいろいろな取り組みも行っている。
大きな和紙のラメが入っているものや、
泥を練り込み、寺院などの土壁が、長い年月をかけて
風化したような風合いの和紙などは、
用途はわからないが、とにかく欲しいと思った。

我慢したけど(笑)


もうひとつ、井谷さんからのお話で印象的だったのは、
井谷さんは紙を漉く時に、注文した人のことを考える、
ということでした。
あの人はこういう人だから、こういう使い方をする。
だから、そのために紙を漉こう。
そのように一枚一枚心を込めて漉いていく。


斐伊川和紙の良しあしは音に現れるそうです。
紙を漉く時のテンポ良い動きで、
耳に心地の良いちゃぷちゃぷという音が立つんです。
その音はぜひ実際に作業場を訪れて聞いてほしいと思います。


島根に着くなり非常に濃厚な時間を過ごし(笑)
その後は、出雲市内へ。
出雲民藝館が素晴らしいというのを事前に伺っていました。


途中の道の駅では、特産品の生姜を使ったカレーが美味でした。

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器は島根を代表する出西窯のもの。
島根への旅は、斐伊川和紙と出西窯を訪れることがメインと言っても
過言ではありません。出西窯来訪については後編でご紹介します。

出雲民藝館は、もと大名の山本さんが所有していた米蔵を改装した建物の中に、
様々な工芸品が陳列され、かまどやこたつなど、生活に根差した展示品も多く、
受付兼案内係の女性にいろいろと詳しくご説明いただきました。

民藝館の敷地の中には今でも古民家に大名のご子息の
山本さんがお住まいになっているということで、
立派なお屋敷が出雲の晴れ渡る青空と美しいコントラストとなり、
印象的でした。

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そして次は出雲大社へと。

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「いずもたいしゃ」と呼びますが、正式には
「いずもおおやしろ」だそうです。
お参りの作法も二礼四拍手一礼と
4回手をたたくのも他とは少し作法が異なります。


ご存知の方も多いと思いますが、今年は
60年に一度の遷宮の年ということで、
例年にない参拝客の多さだそうですが、
この日は少し雨もぱらつき、ゆっくりと拝むことができました。
翌日は横綱を招いての神事だそうで、
多くの人で賑わったのではないでしょうか。


遠くに鳥居が見える段階から
すでに何か厳かな気持ちになったのですが、
本殿にお参りすると、本当に心地の良い気配に圧倒されるほどでした。

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旧暦の10月は神無月と呼び、
ここ出雲では、出雲大社に全国から神様が集うことから
神在月と呼ばれます。

特に今年は遷宮の神在月。
訪れたタイミングは、新暦の10月ではありましたが
まだ長月。神無月ではありませんでした。


まさに本日、11月10日が、
神無月の十日目で、神在祭が執り行われる日にあたります。

今年の神在祭は11月12日の夕刻~19日の夕刻で開催されるそうです。
もしご都合が合いましたら訪れてみてはいかがでしょうか?

出雲大社HP
http://www.izumooyashiro.or.jp/kamiari/top.htm


日が暮れるまで出雲大社で過ごし、
宿に向かいました。
宿泊した宿が素晴らしかったのですが、
それはまた後編でご紹介します~



日本百貨店スタッフ ヤマサキヨシタカ