美容皮膚科学会に行きました。書店で、最新美容皮膚科学体系が発売されていました。その1の美容皮膚科学のきほんをパラパラとみながらあれこれと思いました。その一つが美容皮膚科学という言葉です。
美容皮膚科学が独立した学問体系なのか、皮膚科や形成外科の日常診療に活かすべきパーツなのかは難しい問題です。私は、日本美容皮膚科学会の雑誌編集長や理事長を2003年ごろから10年余にわたって務め、美容皮膚科に携わってきました。「学」にするためには、学術的研究論文が必要ですが、当時の学会誌は使用経験をエッセイ風にしたものが多くアカデミアからは程遠いものでした。美容皮膚科学会会員の皆さんに原稿をお願いして、なんとか原稿を集めて情報発信に務めました。しかし、エビデンスレベルは決して高くはありませんでした。学術論文にするには、時間と根気が必要です。しかし、新しい機器や手技の進歩は目まぐるしく、論文が発表された時点で、時代遅れになりつつあるのはいつものことでした。
美容皮膚科学を目指すのではなく、美容皮膚科を一般皮膚科学の中に活かして行くのが次善と思うようになっておりました。
いずれの方向を選ぶにしても、成書が重要なことは言うまでもありません。「一灯をさげて暗夜を行く。暗夜を憂うなかれ、一灯を頼め。」とは江戸時代の儒学者佐藤一斎の言葉です。一灯がこの分野における優れた成書です。1965年、故安田利顕先生が著された「美容のヒフ科学」はまさにこの一灯です。皮膚科学の目の必要性を提唱され上梓されました。その後ほぼ60年を経て、「体系の中山書店」から最新美容皮膚科学体系の出版が開始されました。
新たに企画された本体系が、美容皮膚科・美容皮膚科学に携わるものの一灯になることを祈ってます。