病院勤務の中堅皮膚科医の不足について | FF残日録のブログ

FF残日録のブログ

広島県出身。各地で皮膚科の医療に関係してきました。2017年から,高槻の病院に勤めてます。過去の文書や今の心のうちを,終活兼ねて記して行こうと思ってます。2023/1/8に、dermadreamからFF残日録のブログに名称変更。

 

あるネットで、『人材不足を感じます。開業やバイト医師、女性医師が非常に多いことなどもあり、皮膚科医が救急対応も含めて勤務を続けるのはこれから難しくなるのでしょうか』という書き込みがありました(途中は省略してます)。思いついたことをだらだら書きました。

 

 

皮膚科医で管理職をやっております。病院では、売上が重要な指標ですが、皮膚科の医師は一生懸命やっていますが売り上げは少ないです。最近は生物製剤が多く出回り、皮膚科の売り上げも増えています。しかし、他科も同様です。生物製剤で売り上げを伸ばしても、利益はほとんど出ません。私の勤務するする病院で、各科の利益額を計算したところ、ある指標を用いると皮膚科が最も赤字幅が多くて、びっくりしました。皮膚科は元手がかからないのが、良い点だと説得されて40数年前に入局したのですが、時代は激変した!というのが実感です。手術をすれば点数は増えますが、全ての勤務医ができるわけでもないです。一生懸命やると、形成外科と競合して、上部から手術は皮膚科でしないで、形成外科に任せる様にとの指示が出ることもあります。ニーズがあるのは、薬疹の治療やコンサルト、アレルギー検査、表在性感染症や蜂窩織炎(最近なぜか多いです)、皮膚腫瘍の初期の見極めなどでしょう。他の皮膚科救急や自己免疫性疾患は大学病院や大手の病院皮膚科が患者を見ることで、十分なのではないでしょうか。そんな事情で、開業する皮膚科医が増え、美容皮膚科を標榜する医師が増えている現実があります。今のところ、皮膚科クリニックが倒産したというのは、例外があるかもしれませんが、あまり聞きません。しかし、使命感やスキルのない医師は早晩 消える運命と思います。一方で、私は皮膚科医のいない地方の応援に月に2−3回行っておりましたが、皮膚科医がいない医療圏の尋常ならざる状況も知っているつもりです。皮膚科医の南北問題は回答の見つからない実に悩ましい問題です。皮膚科学会は、外科学会についで古い学会です。必要性や存在感は、不変と思われます。皮膚科医の必要性も変わらないと思います。時世に合った勤務体制を各々の医療圏で組み立てることが必要だと思います。やはり日本皮膚科学会や日本臨床皮膚科医会がリードすべきだと思います。