兄と弟の秋・4 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

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こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想日記です


苦手な方はお気をつけください。





















「これ仕事?最近、忙しいの?」



さっきまで俺が座っていた椅子に躊躇なく腰を降ろした和は

机に広げてあった資料を興味深そうに眺め始めた



「そう…忙しい」

「だから部屋に籠りがちなんだ?」

「…うん」



こうしていると、まるで普通の兄弟みたいだね



顔を見るだけで切なくなったり、触れたくなったり、自分のモノにしたくなったり

そんな異常なものが一つも存在しない普通の兄弟



…なりたかったな



和と、普通の兄弟に、なりたかった





「こんな手元だけ明るくしてたら目が疲れない?」

「え?あっ…ごめん!」



真っ先に言われるはずの言葉を未だ言われなくて、この状況を飲み込めずにぼんやりしてた


二人きりの部屋が薄暗いなんて恐怖でしかないのに



「ごめん、暗くてごめんねっ」



急いで壁のスイッチを押すと

和の輪郭がパッと鮮やかになった



「あははっ なんで智兄が謝るの~」



明るくなった部屋で、和が笑う

机に肘を乗せて、あははって目を細めて笑ってる




「そう…だよね


ごめんって違うよね」




あれからの日々、そして、今のこの状況

不思議な違和感がずっとあった



その正体が今、分かった気がした



和はアレを無かったことにしてくれたんだ

兄弟として異常なことは、全て記憶から消してくれたんだ

だから普通に帰ってくるし、こんなふうに接してくれる



…よかったじゃないか



強くて優しい和が選んでくれたことに、俺はただ従えばいい




「せっかく淹れたんだから、コーヒー、冷めないうちに飲んでよね」

「うん」

「仕事の邪魔してごめんなさいっ」



んー!と伸びをした和は、椅子をカタンと鳴らして立ち上がった



この部屋から出るということは、当然このドアを通る



いくら無かったことにしてくれたとしても、万が一にも触れないように

腰の後ろで自分の手首を掴んで、こっちに向かって歩いてきた和と入れ違うように部屋の中央へ進んだ




普通の兄弟



和が望む普通の兄弟



出来る

出来なくてもやる



兄の俺には、その責任がある





「コーヒーありがとう、おやす…み…わっ?!」



視界がグラッと揺れて、足が床から離れた



…地震?



和!

和は?!



「和っ!!」



自らを抑制していた腕に自由を与えて、揺れを感じなくなった身体を立て直そうとした



「和!和!!」



とにかく和を守らないと!




伸ばした腕が捉えたもの


そして、懸命に見開いた目に写したものは



「なんでそんなに慌ててんの?」



和だった

















つづく