※BL妄想日記です
苦手な方はお気をつけください。
「鮫島くん!」
「……」
「鮫島くーん!」
「うるさいっ」
「一緒に反省会しよー!」
「…ふんっ」
ものすごく早足で廊下を進んでいた鮫島くんになんとか追い付いて
階段を上る背中を追い掛けて
非常口の手前で体育座りした鮫島くんの隣に座った
「今日は緊張しちゃったね!」
「…別に」
「僕はこんなドレスとか着てたから緊張しちゃった!
特訓してもらったダンスも何ヵ所か間違えちゃったし、鮫島くんの言う通りぐだぐだだったと思う、ごめんなさい」
下校時刻間近の廊下からは、みんなが帰っていく足音が響いてる
もうすぐ学園祭だから、楽しげな声も聞こえてくる
「明日は、もっと頑張るね」
鮫島くんは、なんだか寂しそうな顔をしていて
僕はどうしたらいいのか分からなくて
それ以上なにも言えなくなった
「…二宮は」
「なに?なになに?!」
非常口の窓から射し込む光が無くなる頃
鮫島くんが静かに口を開いた
「好きな奴、居るのか?」
「好き…え?!好きな人?!」
唐突な質問に、心臓がドキンと跳ねる
「格好良く見せたいとか、完璧にやってやろうとか
少しだけ、ほんとーに少しだけそんなこと思ってたけど
俺、全然駄目だった」
「そんなことないよ!鮫島くんはとっても格好よかったよ!」
「お前はいい奴だな
相葉もいい奴、みんなも頑張ってた、楽しそうだったのに…」
あまりにしょんぼりしてるから、なにか原因があるのかと思って
今日の鮫島くんを必死に思い出す
練習が始まるまで、いつも通りだった
みんなが集まって、衣装着るところまでもいつも通り
通し練習が始まる直前にサクラさんが来て、みんなのやる気も一気に上がって…
…違う
鮫島くんだけは、眉間に皺を寄せてた
あの時は気合い入ってるな~って思ってたけど、今思えば、少しだけ怖い顔をしてた
「鮫島くんは…全然楽しくなかった?」
「…そういうわけじゃないけど」
「もしかして…」
「そういえば、ヘンテコな衣装着たままだったな
反省会はここまでにしよう
相葉が待ってそうだしな」
「…うん」
教室へ戻ると、鮫島くんの言った通りマサキくんが待っててくれた
「鮫ちゃんはどんどん王子様っぽくなってるよねぇ」
「それはない」
「あるよ!今日なんか人間ぽくてすごく良かった」
「それは褒めてねーな」
「褒めてるよぉ~」
制服に着替えながら、二人はおしゃべりしてたけど
僕はなんだかうまく話せなかった
つづく