妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。
そのまま潤は振り返ることもなく、カツカツと靴音が遠のいて行き、
「翔ちゃん・・・どおしよう・・・ニノが殺されちゃう!」
今にも泣き出しそうなA葉に、
「いやいや、いくらなんでも殺さねーだろ?!」
S井が呆れ顔を向ける。
「でも・・・!」
「ま、俺も嫌な予感しかしねー・・・雅紀、ニノの今日のスケジュールは?」
「えっと俺と同じで午後からの授業」
「副社長は?」
「朝から大学・・・」
「げ、マジでニノがヤバイ!」
慌てたS井がA葉の腕を取ると、
「翔ちゃん?!」
訳がわからず戸惑うA葉をS井は連れ出すようにして部屋を飛び出した。
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この日、智・潤とA葉を送り出したN宮は智の部屋にいた。
A葉と同じく午後からの講義で午前中は空いていて、特にすることもなかった彼はその時間を休息の時間に充てることにしたのだ。
N宮が静かな時間を楽しんでいると、階下から些か乱暴に扉を閉めるような音が耳に届く。
「・・・?」
音の原因を探るように耳を澄ましたN宮、そしてその主は苛立ちを隠すこともせずに自分のいる部屋に侵入してきたのだ。
これまで見たこともない厳しい表情の潤は一直線にN宮が座るソファまで距離を詰めると無言で見下ろし、その静かなる怒りに触れた彼は恐怖のあまり見上げることしかできずにいる。
「潤くん・・・?」
震える声でN宮が声を掛けると、
「・・・っ?!」
潤はそんな声を無視して白くて華奢な手首を一纏めにしてN宮の頭上に固定すると、有無を言わさず唇を塞いだ。
「んっ・・・や・・・めっ!」
必死でもがくN宮だが元から体格差も体力の差も顕著な2人、その身体は思ったように動かずに潤の唇から逃れられない。
「んんっ・・・ぁ」
塞がれた唇の端から漏れる吐息混じりの声もスルーして、2人の唾液が混ざり合いN宮の口角から溢れ出すまで潤はN宮を解放しなかった。
「・・・っ!」
溺れるようなキスの後で漸く緩んだ潤の圧。
そしてN宮は思い切り潤を突き飛ばして、
「・・・何するんですか・・・こんな、強引に!!」
涙を浮かべながらも鋭い目で睨んでくるN宮。
それでも至近距離から自分を見つめる潤の冷めた瞳を目の当たりにし、N宮の背中にゾクリと嫌な感覚が走った。