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そこからの一週間はまるでそんな話は聞かなかった奴みたいにして、修学旅行の話なんて1ミリも出さなかった。


親方に休憩しろっ!って何度も怒鳴られ頭をはたかれたりするくらいガムシャラに身体を酷使させて、帰ったらニノの声を聞いて、電話を切ったらもう、車になんか乗れないくらいにガンガンにビールを煽って倒れるみたいにして寝た。


金曜の夜。

俺はリーダーを誘って居酒屋にいた。

1人でこのモヤモヤを処理しきれなかったっていうだけの話。


この一週間の酒の量を思うと、自分でもちょっと引いていた。

だけどもう止まらなかった。

ニノがすぐ側に居なくなる事が嫌で、それよりも嫌なのが、ニノと他のヤローが一緒に生活をするってのが俺にとっちゃ拷問だった。

他の誰もがニノをただの友達だと思っていようと

あの裸を見せたり、あの寝顔を見せたりするなんて


絶対ヤダ


リーダーが苦笑いしながら俺の話をうんうんと聞いてくれる。

後半にはいつの間にリーダーは居なくて、座敷には翔ちゃんと松潤が居た。

翔ちゃんに懇々と話を聞かせる。


ねぇ、やなんだよ?

本当、参っちゃうよね?

ニノがさ

ニノがね


気づいたら翔ちゃんが誰かと携帯で喋ってる。

相手がニノだって分かって、少ない理性が何とかかんとか翔ちゃんを引き留めにかかった。

だけど、翔ちゃんにガン無視されちゃって

何だか残ってた理性ってやつは粉々に砕けて消えた。


そこからは、担がれて

確か翔ちゃんの車に乗ったんだっけ

運転は松潤がしてた?あぁ記憶が


とにかく車に乗ってからも俺はニノの話をしていた。

翔ちゃんに完全に絡み酒を堪能させたに違いない。

停車した車に俺のニノが現れた。

酔ってたって分かるよあぁ天使。


しょうがないんだからって言うニノを抱きしめる。

いい香りのニノ。

堪んないよ

俺は深く口付けた。


「んぅっ!ぅゔっ!んっ!」

重ねた唇から逃げようとするニノをキツく抱き寄せ舌を差し込んだ。

甘い味がする。

俺の大好きなニノの味

強張って突っぱねていた身体が急に俺を受け入れ始めた。

甘い声で鳴き始める。

熱い吐息に混じって漏れる喘ぎに俺は酔いしれていた。


車だった事に気付いたのは松潤の

『じゃ、続きはお家で宜しく』

って言われた時だった。

翔ちゃんとニノに肩を担がれて

確か寝室に寝かされた


次に目を開いた時

ニノが俺の髪をあんまりに愛しそうな目をして撫でてるから

夢なのかなとか思ったけど、その身体を組み敷いた。

掴んだ手首はしっかり温もりを感じる。

きっとこれは夢じゃない。


俺で


俺だけでいっぱいにしてあげる。


ニノ


何も考えられないように2人で壊れよう?


いっぱい


いっぱい俺を注いであげるから。