ビジネスの世界では「名刺交換」から人と人の繋がりが始まることが多いと思います。
名刺はその人が所属する会社(組織)、部署、肩書きなど一定の情報を相手に伝えるための最初の、そして大切なツールの一つであることは言うまでもありません。
会社名や肩書がモノを言うなんてこともある一方で、勤める会社のブランド力や組織内で担う役職と、その「人」の真の実力や強み、あるいは人間性とは必ずしも一致していないことも多くの人は知っています。
また、その会社と仕事がする・したいと考えたとき、ビジネスやプロジェクトを円滑に進めていくために大切なのは会社のブランドだけでなく、「誰と仕事をするか」がより重要で、そのために本当に知りたいのは、名刺には書かれていない「パーソナル・人となり」ではないかと思います。
自らの経験でいえば、地域活動や市民活動、ボランティア活動をしていて色々な人と出会いましたが、ほとんど名刺交換はしていなくて、職業も本名も知らない人がいたりしますが、活動への姿勢や行動から「人となり」が伺え、こんな人と一緒に仕事をしたいと思える人が何人もいらっしゃいました。
もちろんそう思えない人もいらっしゃいました。
経験で強く感じたのは属性ではなく、一人ひとりを「人」として見ることが大切。
これは人間関係の基本で、人と人だけにとどまらず、企業と企業、企業とユーザーの関係でも同じことが言えるように感じています。
私の名刺にも会社名や肩書は記してありますが、口頭でのあいさつで肩書は言わないようにしています。
ある作業中心のボランティア活動で、何度か顔を合わせるうちに親しくなった人がいらっしゃって、口数は比較的少なく控えめですが、話術がシンプルかつ分かりやすく、何より調整能力がとても高い人のようだったので交渉人?コンサル業かな?って推測していたら、のちに弁護士だと分かりました。
実は偶然にも、友人の会社が取引会社との間でトラブルが発生し、出口が見えない時に両社の調整をとり、解決策を見い出してくださったのがその弁護士さんだったらしいんです。
その人の手法は意外にも「人と人との関係でトラブルが発生した場合、法律を持ち出すと元の関係に戻りにくくなるので、できるだけ法的手段以外の方法を考え、調整を試みる」らしく、実際に法律の話は全くされずに双方の合意点を見い出されたと聞きました。
双方の言い分をしっかりと受け止めること、結論を決めてかからないこと。そして法律で解決しようとするのは、どうにもならない最後の手段のみと後から教えていただきました。
確かに日々の生活の中で身近な人との間にトラブルが発生した時、法律を持ち出すことはほとんどなく、仮にご近所トラブルで法的手段をとろうと考える時って敵対関係やむなしってことなので、現実でも以前の関係に戻ることは至難の業です。
間接的とはいえ、その方に教わったことは人と関わる上での私のバイブルになりました。
属性ではなく一人ひとりを「人」として見ること
言うは簡単ですが、自分が持ち得ないブランド力や肩書などに左右されたり、時には妬んだりすることがまだまだあって、道のりは遠いかもです。
それでも、人を知るには人を見る、そのスタンスを崩さずに一つ一つに取組んでいけたらと思います。