「おひさまてらないね。」「もうちょっと。」   「さかなのすーぷのにおいだ。」

 

にっきとはっかは概ね仲が良い。時には激烈な衝突もしてみせるが、一日のどこかで必ず接点がある。朝は直角に並んで外を見ていた。夜は台所から漂うブイヤベースの匂いにつられて、縦列待機していた。(もちろん何も成果は無し。)日向ぼっこ、台所監視など、共通の関心でつながっている。

 

 

「わがはいはねこである、よもうかな。」 結局二匹で戻ってきた。

 

すれ違って残念な結果に終わるのは、大抵はっかのいるところへにっきが自分も入り込もうとして「定員オーバー」を言い渡されるとき。長火箸の上のマットは猫一匹がちょうどいい。にっきはぎゅう詰めでもいいから一緒に並んでいたかったらしい。拒絶されて窓際に飛び降りて、ついでにはっかも飛び降りて、結局両猫一緒に戻ってきた。そういうことなら、はっかも追い払わないで、並んでいても良かったのにね。

 

 

「どあがーるでございます。」 「おひさまあびればゆかのうえがいちばん」

 

一匹猫でいるのが好きなはっかも、いつもにっきが門番している電話台に乗るのは気に入っている。空席の時は嬉しそうに飛び乗って座る。とはいえ何といっても日溜まりに勝るものはないようで、床の上にゆったり寝そべるはっかは、どこからどこまで猫らしい(?)。もしかするとまた襲撃に遭うかと警戒しているのかもしれないけれど。

 

 

「にんげんはちらばす。ねこもちらばってるほうがおちつく。」「のーと、ぱたん。」

 

にっきくん(この頃「君付け」は流行らない)は散らばったテーブルの上で、人間の手伝いをしているのか邪魔をしているのか、ごちゃごちゃした中にいるのがお似合い。「そこ、乗るな!」と言われたところにドンピシャで上手に乗ってみせる。「ダメ」とか「いけません」という言葉はにっきの語彙には入らない。まあ、猫の手の持ち主だけにお手伝いは無理だろう。お邪魔専門猫だ。

 

「ていはんぱつくっしょん、いいかんじ。」     「かんしとうに、のってるの。」

 

二匹とも居間のすみずみまで自分たちのものにしつつある。窓辺も棚の上も、あたりがよく見渡せていざという時飛び出しやすい。低い棚は、背の高い食器戸棚から猫が飛び降りる時の着地ポイントの役割も果たしているので、やたらに物は置けない。人間の料理の進行具合を見るにも、相棒の動静を知るにも格好のビューポイントだ。

 

 

「ねむれるはこのねこ」        「ねこはちぐらでまるくなる」

 

まだどちらがどちらのものと決まったわけではない「ちぐら」も、どうやら猫が安心できる場所と認定されたらしい。(これは同じちぐらに順繰り入って一眠りするにっきとはっか。)だが、どうあっても成猫二匹が一緒に入るには狭すぎる。くっついたり離れたり、接点を見出しながらも、それぞれの独立を保つ空間がこの二匹には必要らしい。ちぐらは二つある。どのように分かち合うのか、これからの展開が楽しみだ。