当たり前だが、動物は植物と違って移動する。動くから動物と呼ばれることになったわけだ。それでもじっとしている時もある。猫を見ていると、静止状態の長いことに感心する。室内には外敵がいないから好きなだけ寝ていられる。良い身分だとも言えるし、刺激のない生活に退屈しやしないかと心配にもなる。はっかの卵型の寝姿は、平安の具象画だ。

 

 

猫はまた、動くとなるとよく動く。当初見向きもしなかったおもちゃに、にっきが急に反応し始めた。棒の先に長いリボンのついた猫じゃらし、そのまた先に小さなまきびし。サーカスの虎使いが鞭を振るうように(?)棒を揺らすと、にっきはまきびしをめがけて走る、飛ぶ、跳ねる、回る、手で掴む、かじる、寝そべって振り回す、いやもうなんだってやってみる。こんなに活発とは思わなかった。我が家の居間は体育館になった。

 

 

二匹揃って思索しているように見えることもある。居間の隣の仏間(仏壇の置いてある部屋)は猫立ち入り禁止にしようと決めていた。しかし、到着直後にはっかが勝手に開けて入り込んだ。物陰に隠れたので引っ張り出すのに難儀した。以来、ドアストッパーを付けて猫の手では開けられないようにしたが、時々人間が出入りするのをじっと見ている二匹。襖は開くのではないかと思っているフシがある。猫の好奇心は不可能を可能にする、かもしれない。