ご無沙汰しております。
セミナー講師です。
前回の投稿からだいぶ時間が経過してしまいましたが仕事はしております。
なかなか新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収まらない毎日ですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
今回は弁護士事務所から依頼を受ける車両損害調査(対物)について少々書いていこうと思います。
このブログを見てくださる方は、おそらく自動車の鈑金塗装業関連の方だと思います。
事故に遭われた自動車は鈑金塗装工場(ディーラー含む)に持ち込まれ、損害保険会社から派遣されるアジャスターにより
損害調査等が行われているかと思います。
しかしその調査は損害保険会社側の意向に沿ったもので、車両所有者の意向は反映されておりません。
なので、車両所有者や修理工場が望まぬ修理方法や金額を提示され争いが起こり弁護士介入事案となったとき
私の出番になります。
弁護士先生は車両所有者から依頼をされると、損害の程度や金額を把握するため当職に依頼をくださいます。
そして、被害車両の損害額について公平な観点から「公平で妥当性のある金額を調査せよ!」との命を受け調査を開始します。
事案が既に訴訟になっている場合などは、相手方車両の調査資料を拝見する機会を得ることができますが、
失礼を承知で申し上げると、何を意図して撮影されたのか理解に苦しむ画像が散見されます。
見積書についても、専門職を謳っているアジャスターの書く見積書に別事故が混在していたりと目を覆いたくなる
ようなものも多々あります。
損害調査とは他人様の財物の査定をすることだと私は認識しています。
そして二つと同じものが無い交通事故で被害を被った自動車を査定するという事は、可能な限りの情報収集をしたうえで
その情報をもとに交通事故状況を考え現車の前に立つ程度の準備はあって然るべきだと私は思います。
そして写真撮影時は、弁護士先生や裁判官の方々に分かりやすいよう見積書の流れに沿って撮影を行いかつ写真には
可能な限りすべてに何を示している写真なのかをコメントすることは自分以外の方々に口頭説明をせず理解していただく
ための最低限の礼儀ではないでしょうか?
私は常々、調査依頼=裁判資料の作成、と認識しています。
修理工場に勤務していたときは、見積書=裁判資料と認識しておりました。
私の作る資料の精度次第で見ず知らずの車両所有者に無用な損をさせることも、概ね満足できる修理を提供することも
あります。
そして、裁判官の方々も見る資料となると如何に公平性をもった資料であるかという事も重要になります。
それ故、弁護士先生から公平性と妥当性を有する調査の実行を仰せつかります。
弁護士先生は事故の解決を依頼されているため、どのような交渉を展開していくべきかを考えます。
相手方があまりに少額な修理費を提示してきた場合は概ね満足な修理ができる金額を得るべく交渉を行い、
当方の修理費が一般市場価格より高めな場合はある程度の減額も視野に入れ誰もが納得しうる金額を模索する
ツールとして損害調査報告書を活用します。
このことから損害調査報告書というものは、その事案の方向性に多大な影響を与える書類なので作成する側としては
私個人の主観を極力排除し、客観的事実を的確に把握し事案に関わる全ての人への忖度を排し、まるで機械のように
書類作成を進めていくことが重要となります。
本来、アジャスターもそこを求められているはずですが組織に属している以上、やむを得ない部分もありますね。
私は、今までもこれからも冷静に客観的事実を積み上げていくのみです。
今回は調査に対し私が心がけていることを少々書かせていただきました。
修理業界の皆様も事故車両がご入庫した際は、冷静にお客様の利益を考えていただければと思います。
ではまた。