今日の愛ルケ(#380-381)
この記事は渡辺淳一先生の連載小説「愛の流刑地」を記者が個人的な視点で読み解く記事で、性的な描写もかなり出てまいります。そのような記述を好まない方、ストーリーをブログ上で知りたくない方、並びに15歳未満の方はご遠慮ください。
と断っておりましたが、最近は性的な描写はほとんどでてまいりませんので、むしろ性的な描写をお望みの方はご遠慮なさったほうがよいかもしれません。
なお、記者がまとめたあらすじ中の灰色文字部分は、作品のテイストをできるだけ伝えるために原文をそのまま引用した部分です。
野分 十二
============================ 二回目の審理まで一ヶ月近くあいだが空くが、落着かない。いっそいずれかに決ればいいのに、これが未決の辛さなのか。
============================
連載の終了まであと一ヶ月か、二ヶ月か、それともそれ以上か。
ともかく早くいずれかに決って終ってくれればいいのに、これが受身の辛さなのか。
============================ ふと「明鏡止水」という言葉を思い出すが、とてもそんな気持にはなれない。
============================
じゃあ思い出すなよ・・・。
ちなみに記者、「明鏡止水」というと、あの件で辞めたときの宇野宗佑元首相の記者会見を思い出してしまいます。
============================ 未熟なのか。いや、こんな中ぶらりんで穏やかな心境になれというのが間違いだ。要するに、表面と内面とはまったく違う。
============================
いや、誰も「明鏡止水」の心境になれなんていってませんし・・・。
それにどこをどう「要する」と、そんな結論になるのでしょうか・・・。
============================ 毎日の生活も同じで、することもなくただ次の裁判を待つように見えて、いろいろ対策を考えなければならない。それは北岡弁護士との相談だが、第一回の審理で双方の主張の対立点は明確になっている。
============================
対策っていっても、すでに基本戦略を誤ってしまっている気がしますが・・・。
とにかくその双方の主張の対立点とやらをきいてみましょう。
============================ 検察側は、司法解剖の結果などから被告人が殺意を持って殺したと主張し、遺族らの様子から情状酌量の余地はほとんどないと迫る方針だ。
============================
まあ、そのとおりですねえ。
殺意の立証方法が大甘なのは取り調べのときから相変わらずですが・・・。
============================ こちら側は、一旦、殺したことは認めたうえで、求められて殺した嘱託殺人だと主張した。
菊治はあくまで、興奮のまま思わず絞めたら死んだ、と主張したかったが、それは曖昧で認められないだろうからはっきり嘱託殺人にしたほうが、有利な判決を得られるという弁護士の考えで決ったものだ。
============================
菊治、お前、逮捕されたときさ、罰は受けるのはかまわないけど、ほんとのことを理解して欲しいとか、そんなこといってなかったっけ?
なんでいまさら真実をねじまげてまで「有利な判決」を狙ってんの?
しかもその弁護士の意見とやらは、「思わず絞めたら死んだ」では曖昧だから認められない?
それより、「殺して」といわれて殺した以上、嘱託殺人だったってしたほうがはっきりしていい?
曖昧なのは、法廷での弁護士 の主張じゃねえのか?
でもって、はっきりしてんのは「敗訴」ってことじゃねえか?
だいたい、どう考えてもあの「殺してぇ」を真剱な殺害の依頼だと立証するのは無理だろ。
============================ 菊治は納得しがたいが、一回目にそれを主張した以上、その線で行くよりない。
============================
いやいや、そんなことねえだろ。
そもそもお前は罪状認否で、
「首を絞めたのは、そのようにはっきり、やろうとしてやったことでなく、求められるままに、つい興奮して・・・なにもわからなくなって、したことで・・・(原文)」
って答えてるんだぞ。
弁護士だって曖昧に、
「被告人は異常な状態のまま興奮していて、思わず我を忘れて、被害者にいわれるままに、力をくわえたのだと思います(原文)」
っていってんだぞ。
二人の罪状認否、どう読んでも「殺害の依頼」⇒「承諾」⇒「実行」⇒「死亡」には見えねえからよ。
それなのに自分の意図しない「嘱託殺人」なんて主張を勝手に展開したってんなら、こりゃもう被告人の人権問題だよ。
そういうことにして、弁護人を解任しちゃえばどうだ?。
どこにかわかんないけど事情を訴えて、勝っても負けてもいいから真実を代弁してくれる弁護士をつけてもらって、弁護側の冒頭陳述あたりからやり直してもらえよ。
どうせそっちの世界は法的な手続なんてテキトーなんだからよ、ほんとはできるかどうかわかんないけど、読者ももう文句いわねえよ。
どうだ?
============================ 主張を補強するため、弁護士は隠れたままになっている、ボイスレコーダーを提供してはどうかという。
あれをきいてもらえば断然有利になるといわれ、菊治は考え込む。
=======================ここまで=
考え込むなよ!
あれだけは絶対だれにも聴かせないんじゃなかったのかよ。
おまえ、冬香との思い出とか約束とかもうそんなこと完璧にどうでもよくなってて、それより自分の刑がどうなるかしか考えてねえだろ。
こんな男を愛したつもりで殺されちまったバカ女も、かわいそうっていやあかわいそうですよねえ。
うっかり冬香に同情しそうになっちゃいましたよ、生前の馬鹿さ加減を忘れて。
さあとにかく、考え込んだ挙句、菊治はどう決断するのでしょうか。
冬香をとるのでしょうか、自分をとるのでしょうか。
いやもうどっちでもいいですから、ボイスレコーダー並みにさくっと早送りしちゃってほしいところです・・・。
野分 十三
エロファイルを聴く三賢者。
挿画:小松久子先生
たしかにボイスレコーダーをきけば冬香が「殺して」と叫んでいることはすぐわかる。
だれにもきかせないと決めたはずだなのに、弁護士にすすめられてぐらつくとは、自分の気持の弱さに呆れる。
法廷に出せばみなに聴かれるのではときいてみると、一般人の傍聴を禁止して文書で提出する非公開という方法があるという。それは裁判官と検事と弁護士だけで聴くということか。それならましだが、辛いことは辛い。
採用されるかどうかわからないが、ともかく申請ましょうという弁護士に曖昧にうなずくと、さらに、あなたがきちんとした常識ある人物であることを証明してくれる人はいないか、ときかれる。
自分が常識人か、改めていわれると自信がないが、そんなことまで必要なのか。中瀬や講師仲間、高士たちは自分が人を殺すような男でないとわかってくれるはずだが、高士だけはそんな場に出したくない。中瀬か講師仲間かと考えこんでいると、弁護士は「次回は大事な審理だから、有利なものはすべてぶつけましょう」という。
弁護士がそこまでいうのに本人が迷っていては勝ち目がないと思うが、いま一つのりきれない。
「しかし・・・」
弁護士には優柔不断とうつるかもしれないが、自分が殺した正当性を裁判で争うことが気が重く、馴染めない。
#ということでボイレコは、北岡弁護士通称キタベン主導のうちに、いつもどおりなし崩し的に今ごろになって証拠申請されることになりました。(ようです)
そんな重要な証拠物、最初の審理で申請しとけよと思うのは記者だけではないでしょう。
しかもキタベン、こともあろうかあの内容を法廷でみなに聴かせるつもりだったようですよ。
「どうしても聴かれたくなければ・・・」
菊治に気ぃ遣ってどうすんだよ!
遺族だろ、遺族に気を遣えよ。
そんなもんを法廷で公開すること考えるなよ。
なんで菊治が「どうしても聴かせたくなければ」なんだよ。
おまえ、弁護士っていう以前に、人間としての最低限のモラルもねえな。
菊治とまったく同類じゃねえかよ・・・。
まさに無神経さ全開のキタベンですが、無計画ぶりもただものじゃありません。
法廷で「情状証人2名の喚問を申請したい」と高らかに請求し、検事に「然るべく」と同意をもらったこの期に及んで被告人に「誰かいい人いませんかねえ」と相談しております・・・。
こんなテキトーに請求できるものだとしても、せめて目星くらいつけとけよ。
アイ○ルのマッスルお父さんもプ○ミスのワカパイも真っ青だよ・・・。
さらに驚くべきは証人に証言してもらう内容です。
「あなたがきちんとした、常識ある人物であること」
55歳といい年齢で学歴も職も(当時)あり、ベストセラー作家でもあった人間について、「常識人であること」を証明することが必要というのも情けない話です。
しかし普通なら情けない馬鹿げた話でも、今回はそうとは言えません。
なぜなら殺害当時の菊治は、
学歴と職歴と知識 はあっても、常識はない
男だったからです。
なにより菊治自身、常識人であることに自信がないくらいなんですから。
でもまあ自覚しているだけマシでしょうか・・・あ、いやいや。
そもそもキタベン、自分の論の展開に無理があることに気がついていないのでしょうか。
だって、
きちんとした常識ある人間なら、セックス中にいくら相手が「殺して」と叫んでも、殺したりはしない。
そうでしょ?
ちょっと考えればわかるじゃないですか。
セックス中の叫びに応じて嘱託殺人を実行したと主張するきわめて非常識な被告人がきちんとした常識人であることを証明せよ。
そんなの無理だってんですよ。
こんなのが試験の第一問にあったらソッコー後回し、時間が余ったらとりあえずなんか書いてみる、それくらいの扱いの問題ですよ。
そんな難問を前にしてるのに、なぜかノリノリのキタベン、
「次回は大事な審理ですから・・・」
だからもっと大事な最初の方針を間違えてんだって!!
しかしとにかく有利なものはすべてぶつけようと身を乗り出すキタベンを前にしても、菊治はイマイチ乗り切れません。
自分が殺した正当性を、裁判で争うことに馴染めない。
菊治・・・だったらやっぱ弁護士とっ替えて、過失致死の線で争えよ・・・。
正当性とかじゃなくて、事故だったって主張したいんだろ。
記者がいい先生を紹介してやるよ。
お世話になってる先生が何人かいるからさ・・・。
・・・え?
菊治の弁護なんてまっぴらゴメンですか?
と断っておりましたが、最近は性的な描写はほとんどでてまいりませんので、むしろ性的な描写をお望みの方はご遠慮なさったほうがよいかもしれません。
なお、記者がまとめたあらすじ中の灰色文字部分は、作品のテイストをできるだけ伝えるために原文をそのまま引用した部分です。
野分 十二
連載の終了まであと一ヶ月か、二ヶ月か、それともそれ以上か。
ともかく早くいずれかに決って終ってくれればいいのに、これが受身の辛さなのか。
じゃあ思い出すなよ・・・。
ちなみに記者、「明鏡止水」というと、あの件で辞めたときの宇野宗佑元首相の記者会見を思い出してしまいます。
いや、誰も「明鏡止水」の心境になれなんていってませんし・・・。
それにどこをどう「要する」と、そんな結論になるのでしょうか・・・。
対策っていっても、すでに基本戦略を誤ってしまっている気がしますが・・・。
とにかくその双方の主張の対立点とやらをきいてみましょう。
まあ、そのとおりですねえ。
殺意の立証方法が大甘なのは取り調べのときから相変わらずですが・・・。
菊治はあくまで、興奮のまま思わず絞めたら死んだ、と主張したかったが、それは曖昧で認められないだろうからはっきり嘱託殺人にしたほうが、有利な判決を得られるという弁護士の考えで決ったものだ。
菊治、お前、逮捕されたときさ、罰は受けるのはかまわないけど、ほんとのことを理解して欲しいとか、そんなこといってなかったっけ?
なんでいまさら真実をねじまげてまで「有利な判決」を狙ってんの?
しかもその弁護士の意見とやらは、「思わず絞めたら死んだ」では曖昧だから認められない?
それより、「殺して」といわれて殺した以上、嘱託殺人だったってしたほうがはっきりしていい?
曖昧なのは、法廷での
でもって、はっきりしてんのは「敗訴」ってことじゃねえか?
だいたい、どう考えてもあの「殺してぇ」を真剱な殺害の依頼だと立証するのは無理だろ。
いやいや、そんなことねえだろ。
そもそもお前は罪状認否で、
「首を絞めたのは、そのようにはっきり、やろうとしてやったことでなく、求められるままに、つい興奮して・・・なにもわからなくなって、したことで・・・(原文)」
って答えてるんだぞ。
弁護士だって曖昧に、
「被告人は異常な状態のまま興奮していて、思わず我を忘れて、被害者にいわれるままに、力をくわえたのだと思います(原文)」
っていってんだぞ。
二人の罪状認否、どう読んでも「殺害の依頼」⇒「承諾」⇒「実行」⇒「死亡」には見えねえからよ。
それなのに自分の意図しない「嘱託殺人」なんて主張を勝手に展開したってんなら、こりゃもう被告人の人権問題だよ。
そういうことにして、弁護人を解任しちゃえばどうだ?。
どこにかわかんないけど事情を訴えて、勝っても負けてもいいから真実を代弁してくれる弁護士をつけてもらって、弁護側の冒頭陳述あたりからやり直してもらえよ。
どうせそっちの世界は法的な手続なんてテキトーなんだからよ、ほんとはできるかどうかわかんないけど、読者ももう文句いわねえよ。
どうだ?
あれをきいてもらえば断然有利になるといわれ、菊治は考え込む。
考え込むなよ!
あれだけは絶対だれにも聴かせないんじゃなかったのかよ。
おまえ、冬香との思い出とか約束とかもうそんなこと完璧にどうでもよくなってて、それより自分の刑がどうなるかしか考えてねえだろ。
こんな男を愛したつもりで殺されちまったバカ女も、かわいそうっていやあかわいそうですよねえ。
うっかり冬香に同情しそうになっちゃいましたよ、生前の馬鹿さ加減を忘れて。
さあとにかく、考え込んだ挙句、菊治はどう決断するのでしょうか。
冬香をとるのでしょうか、自分をとるのでしょうか。
いやもうどっちでもいいですから、ボイスレコーダー並みにさくっと早送りしちゃってほしいところです・・・。
野分 十三
エロファイルを聴く三賢者。
挿画:小松久子先生
たしかにボイスレコーダーをきけば冬香が「殺して」と叫んでいることはすぐわかる。
だれにもきかせないと決めたはずだなのに、弁護士にすすめられてぐらつくとは、自分の気持の弱さに呆れる。
法廷に出せばみなに聴かれるのではときいてみると、一般人の傍聴を禁止して文書で提出する非公開という方法があるという。それは裁判官と検事と弁護士だけで聴くということか。それならましだが、辛いことは辛い。
採用されるかどうかわからないが、ともかく申請ましょうという弁護士に曖昧にうなずくと、さらに、あなたがきちんとした常識ある人物であることを証明してくれる人はいないか、ときかれる。
自分が常識人か、改めていわれると自信がないが、そんなことまで必要なのか。中瀬や講師仲間、高士たちは自分が人を殺すような男でないとわかってくれるはずだが、高士だけはそんな場に出したくない。中瀬か講師仲間かと考えこんでいると、弁護士は「次回は大事な審理だから、有利なものはすべてぶつけましょう」という。
弁護士がそこまでいうのに本人が迷っていては勝ち目がないと思うが、いま一つのりきれない。
「しかし・・・」
弁護士には優柔不断とうつるかもしれないが、自分が殺した正当性を裁判で争うことが気が重く、馴染めない。
#ということでボイレコは、北岡弁護士通称キタベン主導のうちに、いつもどおりなし崩し的に今ごろになって証拠申請されることになりました。(ようです)
そんな重要な証拠物、最初の審理で申請しとけよと思うのは記者だけではないでしょう。
しかもキタベン、こともあろうかあの内容を法廷でみなに聴かせるつもりだったようですよ。
「どうしても聴かれたくなければ・・・」
菊治に気ぃ遣ってどうすんだよ!
遺族だろ、遺族に気を遣えよ。
そんなもんを法廷で公開すること考えるなよ。
なんで菊治が「どうしても聴かせたくなければ」なんだよ。
おまえ、弁護士っていう以前に、人間としての最低限のモラルもねえな。
菊治とまったく同類じゃねえかよ・・・。
まさに無神経さ全開のキタベンですが、無計画ぶりもただものじゃありません。
法廷で「情状証人2名の喚問を申請したい」と高らかに請求し、検事に「然るべく」と同意をもらったこの期に及んで被告人に「誰かいい人いませんかねえ」と相談しております・・・。
こんなテキトーに請求できるものだとしても、せめて目星くらいつけとけよ。
アイ○ルのマッスルお父さんもプ○ミスのワカパイも真っ青だよ・・・。
さらに驚くべきは証人に証言してもらう内容です。
「あなたがきちんとした、常識ある人物であること」
55歳といい年齢で学歴も職も(当時)あり、ベストセラー作家でもあった人間について、「常識人であること」を証明することが必要というのも情けない話です。
しかし普通なら情けない馬鹿げた話でも、今回はそうとは言えません。
なぜなら殺害当時の菊治は、
学歴と職歴と
男だったからです。
なにより菊治自身、常識人であることに自信がないくらいなんですから。
でもまあ自覚しているだけマシでしょうか・・・あ、いやいや。
そもそもキタベン、自分の論の展開に無理があることに気がついていないのでしょうか。
だって、
きちんとした常識ある人間なら、セックス中にいくら相手が「殺して」と叫んでも、殺したりはしない。
そうでしょ?
ちょっと考えればわかるじゃないですか。
セックス中の叫びに応じて嘱託殺人を実行したと主張するきわめて非常識な被告人がきちんとした常識人であることを証明せよ。
そんなの無理だってんですよ。
こんなのが試験の第一問にあったらソッコー後回し、時間が余ったらとりあえずなんか書いてみる、それくらいの扱いの問題ですよ。
そんな難問を前にしてるのに、なぜかノリノリのキタベン、
「次回は大事な審理ですから・・・」
だからもっと大事な最初の方針を間違えてんだって!!
しかしとにかく有利なものはすべてぶつけようと身を乗り出すキタベンを前にしても、菊治はイマイチ乗り切れません。
自分が殺した正当性を、裁判で争うことに馴染めない。
菊治・・・だったらやっぱ弁護士とっ替えて、過失致死の線で争えよ・・・。
正当性とかじゃなくて、事故だったって主張したいんだろ。
記者がいい先生を紹介してやるよ。
お世話になってる先生が何人かいるからさ・・・。
・・・え?
菊治の弁護なんてまっぴらゴメンですか?