ワールド 株式非公開へ -卒業-
経営陣 2200億円でMBO -1面ほか-
東証・大証一部上場アパレル大手のワールドは25日、経営陣による企業買収(MBO)で株式を非公開化すると発表しました。大きな資金調達の必要がない中、買収リスクや大株主の変動に影響されない経営を維持するための判断です。
買収価格は過去半年の平均株価を約26%上回る4700円(前日終値は4410円)、買収額は最大約2200億円となり、過去最大のMBOとなります。
くだらねえ買収防衛策を弄するんなら、株式の公開なんてやめちまえ。
常々そう思っておりますし、本紙でもそれっぽいことを訴えたことがあると思いますが、まさかこんなにデカい企業が経営の安定のために非上場の道を選んでくるとは思いませんでした。
ワールドに具体的な買収の危機があるわけではありませんし、買収防止を主目的としたものではありませんが、ライブドアとニッポン放送、夢真HDと日本技術開発などの買収合戦で小手先の防衛策が問題になる中で、非上場化はもっとも堂々とした買収防衛策であるともいえるでしょう。
MBOとは簡単に言えば経営陣がお金を借りてその企業を買ってしまい、名実ともに自分の会社にするってことですが、これはオーナー色が強く、社長、会長も同族である同社だからできた決断であるともいわれています。
目先のことしか考えへん株主やら投資家やらアナリストやらにやいやい言われるのはかなわんし、上場維持費用やら情報開示費用やらコストも馬鹿にならへん。
儲かってるから手元に金はあるし、市場から金を引っ張ってこなならんようなでっかい投資案件もないし、今さら「ワールド」っちゅう会社の宣伝をせんでもブランドの知名度は高いし、別に上場しとる必要ないやないか。
経営陣はそういう判断をしたようですが、なるほどその通りですね。
上場は大証二部が93年、東証二部が98年、双方の一部昇格が99年と上場の歴史は比較的短いのですが、「ワールド」の社名は数年前にサラ金の「ワールドファイナンス」に対して「ワールド」の文字の看板使用差し止め判決を勝ち取ったことにも見られるとおり、一般に広く浸透しているといえるでしょう。
ではワールドの展開するブランドにどのようなものがあるかご存知でしょうか。
記者はモールや百貨店をブラブラするとつい商品のタグをめくって、ブランドと同時に企業名をチェックしてしまうのが癖となっているのですが、そういう癖のない普通の方はブランド元の企業まで気にしているのでしょうか。
レディス:アンタイトル、インディヴィ、オゾック、クードシャンス、ヴォイスメール
メンズ:タケオキクチ、ボイコット
ファミリー:三寒四温、ハッシュアッシュ
スポーツ:アダバット
ストアブランド:オペーク、ネクストドア、イッツデモ
街で比較的見かける、ていうか記者の知っているブランドをいくつか並べてみましたが、なるほどこれが全部ワールドか、と思われた方もいるでしょう。
資金調達の必要性がないことのほか、企業名以上にブランド名が浸透して十分に評価を得ていることも、非上場化を決断した理由のひとつでしょう。
一方で、03年に東証二部に上場したサンエー・インターナショナルという会社があります。
ナチュラルビューティー、ヒューマンウーマン、ピンキーアンドダイアン、パーリーゲイツなどのブランドを有する企業ですが、上場で得た資金を用いてマーガレット・ハウエルを展開するアングローバルという企業を買収しました。
こちらも同じくオーナー色の強い企業ではありますが、経営に対する一般株主の要求や買収などのリスクをとることになっても、上場により信用力を強化し、市場から調達した資金を利用するM&Aを活用して成長する路線を選択したといえます。
いうまでもなくサンエーインタのような戦略のほうが一般的ですし、財務面に負担をかけずに早く成長するには有効なのですが、しかし売上規模や成長ステージ、知名度、財務安定性が異なれば、とるべき戦略も異なってしかるべきです。
本日付の朝日新聞には経済評論家の佐高信氏が「非公開化は会社の閉鎖化で、企業不祥事の相次ぐ中、市場の監視を失えば企業の『暴走』をチェックできなくなる恐れがあり、経営陣の保身と言われてもしかたない」という内容のコメントを寄せていますが、記者はかなり的外れだと思います。
本日、記者のところにさっそく証券会社のセールス担当さんから「ワールドを組み入れから外す機関投資家が替わりに買うことで上がりそうな銘柄っていうと・・・」などという電話がかかってきましたが、このように企業の長期的な戦略よりも短期的な利益を求めることに「狂騒」する株主・投資家が増加している中、上場しているメリットが薄れたとすれば、非上場化も有効な選択肢と考えるべきでしょう。
もっとも、マネできる企業がそうあるとは思いませんけどね・・・。
東証・大証一部上場アパレル大手のワールドは25日、経営陣による企業買収(MBO)で株式を非公開化すると発表しました。大きな資金調達の必要がない中、買収リスクや大株主の変動に影響されない経営を維持するための判断です。
買収価格は過去半年の平均株価を約26%上回る4700円(前日終値は4410円)、買収額は最大約2200億円となり、過去最大のMBOとなります。
くだらねえ買収防衛策を弄するんなら、株式の公開なんてやめちまえ。
常々そう思っておりますし、本紙でもそれっぽいことを訴えたことがあると思いますが、まさかこんなにデカい企業が経営の安定のために非上場の道を選んでくるとは思いませんでした。
ワールドに具体的な買収の危機があるわけではありませんし、買収防止を主目的としたものではありませんが、ライブドアとニッポン放送、夢真HDと日本技術開発などの買収合戦で小手先の防衛策が問題になる中で、非上場化はもっとも堂々とした買収防衛策であるともいえるでしょう。
MBOとは簡単に言えば経営陣がお金を借りてその企業を買ってしまい、名実ともに自分の会社にするってことですが、これはオーナー色が強く、社長、会長も同族である同社だからできた決断であるともいわれています。
目先のことしか考えへん株主やら投資家やらアナリストやらにやいやい言われるのはかなわんし、上場維持費用やら情報開示費用やらコストも馬鹿にならへん。
儲かってるから手元に金はあるし、市場から金を引っ張ってこなならんようなでっかい投資案件もないし、今さら「ワールド」っちゅう会社の宣伝をせんでもブランドの知名度は高いし、別に上場しとる必要ないやないか。
経営陣はそういう判断をしたようですが、なるほどその通りですね。
上場は大証二部が93年、東証二部が98年、双方の一部昇格が99年と上場の歴史は比較的短いのですが、「ワールド」の社名は数年前にサラ金の「ワールドファイナンス」に対して「ワールド」の文字の看板使用差し止め判決を勝ち取ったことにも見られるとおり、一般に広く浸透しているといえるでしょう。
ではワールドの展開するブランドにどのようなものがあるかご存知でしょうか。
記者はモールや百貨店をブラブラするとつい商品のタグをめくって、ブランドと同時に企業名をチェックしてしまうのが癖となっているのですが、そういう癖のない普通の方はブランド元の企業まで気にしているのでしょうか。
レディス:アンタイトル、インディヴィ、オゾック、クードシャンス、ヴォイスメール
メンズ:タケオキクチ、ボイコット
ファミリー:三寒四温、ハッシュアッシュ
スポーツ:アダバット
ストアブランド:オペーク、ネクストドア、イッツデモ
街で比較的見かける、ていうか記者の知っているブランドをいくつか並べてみましたが、なるほどこれが全部ワールドか、と思われた方もいるでしょう。
資金調達の必要性がないことのほか、企業名以上にブランド名が浸透して十分に評価を得ていることも、非上場化を決断した理由のひとつでしょう。
一方で、03年に東証二部に上場したサンエー・インターナショナルという会社があります。
ナチュラルビューティー、ヒューマンウーマン、ピンキーアンドダイアン、パーリーゲイツなどのブランドを有する企業ですが、上場で得た資金を用いてマーガレット・ハウエルを展開するアングローバルという企業を買収しました。
こちらも同じくオーナー色の強い企業ではありますが、経営に対する一般株主の要求や買収などのリスクをとることになっても、上場により信用力を強化し、市場から調達した資金を利用するM&Aを活用して成長する路線を選択したといえます。
いうまでもなくサンエーインタのような戦略のほうが一般的ですし、財務面に負担をかけずに早く成長するには有効なのですが、しかし売上規模や成長ステージ、知名度、財務安定性が異なれば、とるべき戦略も異なってしかるべきです。
本日付の朝日新聞には経済評論家の佐高信氏が「非公開化は会社の閉鎖化で、企業不祥事の相次ぐ中、市場の監視を失えば企業の『暴走』をチェックできなくなる恐れがあり、経営陣の保身と言われてもしかたない」という内容のコメントを寄せていますが、記者はかなり的外れだと思います。
本日、記者のところにさっそく証券会社のセールス担当さんから「ワールドを組み入れから外す機関投資家が替わりに買うことで上がりそうな銘柄っていうと・・・」などという電話がかかってきましたが、このように企業の長期的な戦略よりも短期的な利益を求めることに「狂騒」する株主・投資家が増加している中、上場しているメリットが薄れたとすれば、非上場化も有効な選択肢と考えるべきでしょう。
もっとも、マネできる企業がそうあるとは思いませんけどね・・・。