本書は集英社新書2021年刊行のもの、2021年の新書大賞でもある。
それでも、数十万部程度なのは現状を表しているようにも思う。
(反論を唱える方々、学者もいるので、念の為に添えると)仮に、このまま二酸化炭素を排出し続けることで、環境が変化して、地球上の生活がたち行かなくなるとすれば、資本主義をこのまま続けるのは危険だ、という主張だ。
まぁ、もっと単純化しても、化石燃料を使い続ける社会では、とどのつまり、資源を人類が協調して分配(共産)するか、一部の強者に独占されて、他の人々が滅びるのか、大きく分けると2つのシナリオしか無い。
本書の主張はもっともなことだと思う、しかし、実現するには、資本主義という制度を変える必要があるというところが、最も強硬な問題だろう。
さて、刊行から3年ほど経過したが、現在の日本の様子はどうだろうか?
インバウンド需要で盛り上がっている姿、半導体工場を誘致して経済効果があると喜ぶ姿、かたや、賃上げ基調の中、エッセンシャルワークのひとつでもある、介護報酬が部分的に引き下げられたことなど、どうも、日本という国は資本主義にべったりのようだ。
ただし、福音もある。
少子高齢化などの議論が世間では喧しいのだが、その中、密かに進行している大量死亡社会がそれだ。
そう、二酸化炭素を排出する大元である、人が減っていくのだ。
現在の問題点は、すべてが悪いとは言えない、こういう一見ネガティブな要件が実は長期的には幸いする可能性もあるのだ。