何でだろう。
もう7.8年以上も前の浜松の思い出がモノクロで記憶の中によみがえってきた。
しかも、何とも言えない不思議なノスタルジー。
ああ、そっか。指輪だ。
浜松に降り立ったとき、風がひゅーっと吹いて、そこはまるで砂漠のような印象だった。
(えっと、ごめんなさい。あの頃はそんなイメージで。。)
アランと二人、口をそろえて、
何にも無い。。。
何じゃーここはあ。
とある意味、不思議の国に来てしまったかのよう。
記憶に残っているのは、
夜食べたあやしい雰囲気の南国系レストランで、サーブしてくれたのも、今思うと日本人だったのかすら思い出せない。。
でも、そこでデザートに食べた焼きバナナがめちゃくちゃ絶品で、あれだけを食べにカムバックしたいと思わせるものだった。
そのバナナを確かお代わりしちゃったような、酒も入り、夜の未知の場所、浜松をふらーっと歩き始めて上機嫌になっていた時、その場所に出会ったのだった。
何か、いきなり出現した感じで、ぼあっとそこだけスポットライトが当たっちゃったかのような、その場所は、そこだけ日本ではなく、どこかヨーロッパなデジャヴュを思い起こさせた。
一軒だけぽっつっと建っている小さな建物、そしてその前に日本のチャリではないどこか懐かしいチャリが置いてある。
二人して、おおおおっと、何故か感激なまなざしで、吸い込まれるようにそこへ向かった。
明かりが何だかそのチャリに当たっている感じで、お店の中は暗く、でも親近感のあるこじんまりしたアクセサリーが並んでる。
翌朝。
どっかのファミリーレストランで朝食を取り、ああ、あの時初めてファミリーレストランで朝食を食べたアランは大満足の顔をしていたっけ。メニューが写真付きで(笑)。
その日、そのお店に二人で向かったのを覚えている。
再び訪れると、夜中にあった異様な感じとは違って、町に溶け込んでいる感じでもあって、そして一人日本人のお兄さんが居た。
そして、アクセサリーとかを見ながら、彼が、プレゼントをしてくれるという。
それから、あれよとお兄さんも交えて、気が付いたらペアの指輪はどうかっていう話になり、曲線の綺麗なシンプルな指輪を買うことに。
名前を入れますか?
と聞かれ、二人して???、
交互に相手の名前をいれてもらうという事だとは全然思わなかった阿呆な、もといあの頃はうぶな二人。
そして、どっちの指にするんだっけと意味もなくあたふたする二人。
ってか、結婚指輪ってどっち?
左でしょう?
じゃあ、右にしとくか。
見たいな感じで。
お兄さんの手作りな指輪は、お互いの名前が小さく入っている。
あれから、数年後、右から今は左に変わっている。
一つ、たった数千円のプレゼントし合った指輪。
あのとき、あの場所で出会ったライトに照らされた小さなそのお店で買った指輪は、どの指輪よりも価値がある。
うちらにとって、結婚指輪だとか結婚だとかそういうものに、憧れとかそういうものは何にもなくて、だからあの時、あのお店で手作りしていたあのお兄さんが二人で指輪っていうのは?なんて言ってくれなかったから、指輪をしていたのかさえ、怪しい。。
だから、あの時買った指輪は、当たり前のように変わることなくお互いの指にはまっている。
アランの場合は、はまり過ぎて抜けないという阿呆ぶりだ。病院であたふたして、結局抜けずに終わったほどだ。
私も相変わらず、指輪をお風呂に入るときに外して、そのまま何日もするのを忘れたりする阿呆ぶりだ。
何となく、またあのお店に行きたいなーとふと思う。
でも、どこに存在しているのかなあ。
いまやある意味、浜松の良い思いでだ。正直、浜松でいったい何をしていたのかすら覚えていない。
でも、アランも私も東京よりも思い出深くなったあの町。
モノクロの中の映像にセピア色にあせた記憶のお店。
それでも、あのぼおっと夜空の下に浮かび出たあのお店は一度見れば分かるだろう。
何かまたあそこに行きたいなあ。