今日もいい天気だ。

四月になろうとしている。
車の窓をあけ山の方へ向かって深く鼻呼吸をした。

暖かくなりかけてきた緑溢れた東北の地でくらす私だが、別にマイナスイオンを体内に取り込もうとしている訳ではない。

この季節になると 花粉症というワードがテレビでもネットでも取り上げられる。

まるで何かを欲しがるチワワのように目をウルウルさせ、ティッシュを片手に持ち
かわいく甲高いクシャミをしながら
「ごめんね、ごめんね、花粉症なの」と必死に謝る花粉症ガールが春の訪れと共にやってくる

等の本人達は故意にやっている訳でもなく
辛く大変なのは十分承知だが
花粉症でない私からすれば 
その様はとても弱々しく可愛らしい
まさに守ってあげたくなる
憧れの存在なのだ。

でもそんな花粉症ガール達
不思議な事もあって
そんな女子に限って昼夜問わず活動的になる。
花粉症が本当に辛ければ家でじっとしているべきだと内心 冷静に思いながら
 そんな可愛い女子を遠くから眺めていたい気持ちもあるのもまた事実。

同じ女でありながら女という生き物は不思議だと
人ごとのように感じる。

私の中の花粉症と書いてあるコップの中に
花粉症が蓄積され、溢れ、こぼれ落ち
私もはれて花粉症デビューとなる日がくるのだろうか。
私もいつかその武器を使いたい。
使えるのか。
考える。

うん、考えるのはやめよう。

私は車の窓を閉めて前を向いた。