プログラム
シベリウス:
「夕べに」op.17-6、 「逢引から戻った娘」op.37-5
「そよげ葦」op.36-4、「山彦」op.72-4
「ユバル」op.35-1
歌曲集『6つの歌』 op.88
1.青アネモネ 2.2つのばら 3.つまとり草
4.アネモネ 5.いばら 6.花の定め
ロマンスop.101-1*ピアノ・ソロ
「初めての口づけ」op.37-1、「春はいそぎ過ぎゆく」op.13-4
「それは夢か」op.37-4
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モーツァルト:「我が感謝をうけたまえ、やさしき保護者よ」K.383
「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」〈夜の女王のアリア〉
ショパン:前奏曲変ニ長調 op.28-15 「雨だれ」*ピアノ・ソロ
ベッリーニ:狂乱の場「あなたの優しい声が」(歌劇「清教徒」)
マスネ:「さようなら、私たちの小さなテーブルよ」(歌劇『マノン』)
ショパン:ワルツ 変イ長調op.69-1「告別」 *ピアノ・ソロ
ヴェルディ:「不思議だわ~ああ、そはかの人か~花から花へ」(歌劇『椿姫』)
アンコール
プッチーニ:「私が街を歩けば」(歌劇『ラ・ボエーム』より)
多忠亮(作曲)竹久夢二(作詞):宵待草
見た目は強気のお姉さんですが、実物は色白の繊細そうなお嬢さんでした。(後で知りましたが今26歳だそうです。若い!)
フインランドの人だそうですから色も白いはずです。あそこは冬は昼の3時に真っ暗ですから。。。私は住めません。
フィンランド人らしくシベリウスの歌曲で攻めてきました。良いです。「お国の歌はその国の人にしか表現できないものがある」などと、勝手に納得しながら(後で覆される訳です)、初めて聞くけれども美しい歌を聴きました。
後半は打って変わってポピュラーな選曲。大抵の人は知っている、しかもこの劇場の観客(レベル高いです)なら何度も色んな歌手の歌をここで聞いている曲です。先日聞いたエカテリーナ・レキーナさんとかなり表現が違います。「夜の女王」はエカテリーナの方がずっと凄みがありましたが、でもトゥーリ・タカラは「コロラトゥーラ・ソプラノ」というタイトル(?なんて言うんでしょう...)がぴったり合っていて「コロラトゥーラ・ソプラノ」とはこういうものよ、という説得力が非常にあった。湯浅桃子さんに匹敵する上手さと思います。美人度も高いし。
これでチケット1000円(エカテリーナ・レキーナさんは2500円)というのは安すぎます。新人だから格が違うのでしょうが宝を発見したリサイタルでした。(シャレではありません)
ゲルマンだからというのもあるでしょうが表現力があります。つまり自己主張がうまいということですが、これは日本人には根本的に勝てない素地のひとつと、聴きながら思いました。観客を自分の世界に引っ張り込むちから。あります。特に最後の「椿姫」の演技つきの歌唱(私的にはネトレプコのリサイタルでの演技にノックアウトされた曲目です)は素晴らしく、オペラのシーンを見ているように引き込まれました。曲が終わったら本人も納得の表情で、「完全燃焼した」と、観客も本人も、感動を共有しました。こういうとき、「音楽というものは観客と一緒に作るもの」を実感します。
これでアンコールを歌えるのかな、、、と(もうやること全部やりました的でしたから)期待半分満足感半分で長い拍手をしていたら、歌いました。「ムゼッタのワルツ」
圧倒されました。演技つきで完全そこにムゼッタが街を歩いています。頭のてっぺんから爪先までムゼッタ。観客は釘付け。。。この演技力、観客を巻き込む実力は凄い。当然、長~い拍手が鳴り止みません。
この歌を聞いている間に気がついたのですが、伴奏(当劇場定番の斎藤雅広さん第46回日本音楽コンクール優勝者、当時18歳!)とまったく目が合わないのです。あんなにテンポを揺らして歌っているのに(そこがワルツの真髄なわけですが)、この二人は全然お互いを見ないのです。一度も見ませんでした。「よくあれで伴奏が合うなぁ」と感心しきりました。伴奏がうまいピアニストや指揮者を何人も見てきましたが、みなさん「歌手の動きをよく見ながら」演奏していました。(歌手を見ていても合わない指揮者もいますが)今回の二人は全然違う。お互いの呼吸が合うまで長時間リハーサルした、とは思えない(そんな時間の余裕は無いと思う)のですが、不思議なくらい合っていて感動しました。本人にこのことを聞いて見たいものです。
長い拍手が続いて、もう一曲歌うことになりました。
なんと「ヨイマチグサ」と自分で言いました。
涙出ました。日本の歌なのに発音は日本人以上にキレイに(特に月のツの音です)情緒豊かに歌いました。やるせない、はフィンランド語にあるのだろうか、ドイツ語には無いが、分かるんだろうかと思いつつ、やるせなさが会場に充満しました。
「お国の歌はその国の人にしか表現できないものがある」そういう思い込み(予断とも言う)をぶっとばされた歌唱だった。この人は伸びるでしょう。また聴きに行きたいです。
次回来日の折には井上雅人さんとジョイントコンサートでもしてもらいたいものです。
※翌々日(5/30土曜日)銀座ヤマハでもう一回リサイタルがあったそうですが残念ながら行けませんでした。
最後までお読み戴き有り難うございました。
待てど暮らせど来ぬ人を
宵待草のやるせなさ
今宵は月も出ぬそうな
