ローザ・フェオーラ(ソプラノ)リサイタル@武蔵野市民文化会館 2014.5.30 | リーベショコラーデ

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ローザ・フェオーラ【Rosa Feola】のリサイタルに毎度毎度のにゃーと行ってきました。



イタリア人です。この方はネット上になかなか良い「写真」が無くて、↑チラシの写真も本人の実物とはイメージが違います。

本物はこんな感じ

かなーり、違うでしょ?


これはですね、まだ人物が固まっていなくて激しい成長を続けている反映だと思います。(いい加減な事を想像で言ってるだけですが)

堂々としたステージマナーで、一目で40歳くらいかと思いましたが、歌を聞くうちにその声の若さでだんだん想像値が下がり、肌の艶から32歳まで下がりましたが28歳だそうです。
(出所:本人のfacebookファンページ

武蔵野市民文化会館にはほぼ毎月通ってますが、リサイタルとしては今まででブラボーのかけ声(ほんとはブラヴァ=女性に対して、だそうですが)がもっとも多く飛び交っていました。(そういうお客さんが多かった所為なのかもしれませんが)これで28歳、というのはもう貫禄です。日本人にはいない。技量、態度ともにです。日本に戻ってからたくさんの歌手(声楽家)の歌を聴きましたが、こと、クラシック歌曲とオペラに関してはほとんど桁違いの差があると感じます。28歳でこういう人が出てくるあちらの世界とは体格も態度も日本人にはかなわない。あちらのコンペティションに参加して「私はもう日本でやるしかない」と悟って帰国したという人の話を最近聞きましたが、それはそれで賢い判断だったと思います。日本人は別の土俵で勝負しないとならない。一騎打ちでは勝てない。それが声楽の世界の現実です。

さてプログラムのレビューですが、前半は歌曲、後半はアリアです。

話の腰をいきなり折るようですが、一曲目を歌い終わってから拍手がまったく起きませんでした。これは武蔵野の特徴ですが、どうも「同じ作曲家の歌曲は全曲歌い終わるまで拍手しない」という慣習がこの会館にはあるのです。

前回、エカテリーナ・サダヴニコヴァのリサイタル(2014.2.2)でも同じ事があって、ご本人が「なぜ1曲1曲拍手してくれないのかしら。とても歌いにくいわ」ピアニストにつぶやいたそうですが(今回のローザ・フェオーラさんの話ではありません)、ソナタとか交響曲とか楽曲が三部構成とかになっている場合は拍手しない(理由は以前別の所でながながと書いたので割愛)ものですが、歌曲集から選択されたものを歌うなら拍手すべきです。長い飛行機の旅を経て(ホントに疲れます)日本に来てくれて、リハーサルもこなして、一曲目を初めて日本人に聞かせたのに拍手無し。反応がゼロ。良かったのか気に入らなかったのか、日本人はもともと気持ちを外に現さない民族だと聞いていたけれど、どういう意味なのかしらこれは・・・、という表情をしていました。

それを悟った一部のお客さんは、二曲目からは拍手がパラパラと出ました。ローザ・フェオーラさんは初めて、笑顔になりました。それからは毎曲ごとに拍手が起きて、ブラボーも十人じゃきかないほど出ました。(ほんとはブラヴァ=女性に対して、だそうです)


拍手の話はこれくらいにして、歌は、「これで28歳ですか?」の余裕の技量です。イタリア人だから根が明るさを持っている。そこがロシア人の憂鬱が大好きな私には最高に好きにはなれないところですが、もう、貫禄ですよこの人は。一番良かったのは前半の歌曲でした。この人にあっている。

同じ曲がネットにありました。良い時代だなぁ。こういう歌を歌う人です。

このおじさんのピアノもいいなぁ・・・
もう、貫禄でしょう? 28歳ですよ? 
できますか?

貫禄といえば、あちらの人は「おいでおいで」をするときには手のひらは上を向く事を知ってますか。「カモン」のポーズはひじを突き出して、腕を上方にあげて、手のひらを自分の方に動かします。

しかし、この歌手さんはアンコールの挨拶でピアニストを自分の方へ呼ぶ時に、日本人と同じおいでおいでをしました。(但し、もっと素早い動作でした)

あれぇ、と思っていたら在欧12年のにゃーによると、「あれは幼稚園の先生が子どもを呼ぶ時の仕草と同じ」だそうで、28歳のお姉さんが56歳のピアニストを「おいでなさいよこっちに」をした、「貫禄を見た」ということだそうです。分かる。日本人の態度とはまったく違う。そういう教育を受けていないからな、日本人の女性は。


また横道にそれましたが、歌は、「もうまいった」というしかありませんでした。でも、わたしの好みから言うと、ミカエラのアリアは大隅智佳子さんのほうが1000倍くらい良いです。あれは、声の質なのか、明るいイタリア人にはミカエラは向かないのか(イタリア人でミカエラのアリアが素晴らしいと思ったのはアンナ・モッフォだけ)、不思議なものです。こんなに技量が高くて椿姫の最後の高音も余裕で出してしまう(ホントに余裕で出しました)ような歌手でも、素晴らしく聴こえる歌とそうでもない歌がある。

声楽というのは奥深いものだなぁ、と思う一夜でした。


それでは最後に当日のアンコール曲を。素晴らしい締めくくりでした。やっぱりこの人にはイタリアの曲が合います。まだ28歳。スターダムの階段を昇って下さい。