今回の相談は、「出向」に関するレアな相談事例です![]()
社員が別会社に出向するのですが、出向先では「社長」つまり役員になる、という相談です。
自社の労働者が、出向先で社長、役員になるので、法律上「労働者」でなくなる・・・
こんな場合、どうすればよいのでしょうか![]()
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我が社の社員が子会社に出向し、出向先で役員になる場合についてです。
出向元では社員、出向先では役員となるので、その際の注意点がありましたら、ご教示いただけないでしょうか。
給与については出向先の役員報酬の金額で支払いますが、本人に出向元から払うか、出向先から払うかで悩んでおります。
(これまで出向者には出向元で給与を払っていました。)
今回は出向先から払うほうがいいかなと考えているのですが、その場合、出向元での取り扱い(特に雇用保険、労災保険、退職金)がどうなるかお伺いしたいです。
(回答)
≪役員待遇での出向について≫(出向先で役員となる場合)
●出向元 ⇒ K社/労働契約
●出向先 ⇒ 委任契約(役員)
≪原則≫
・出向者の賃金は、労務の提供先である出向先が負担するのが原則で、社会保険や雇用保険についても、労務提供先である出向先において付保するのが原則である。ただし実際は、出向元が賃金を支払い社会保険も付保し、出向料という形で出向先に支払うことが多い。(理由:社会保険関連について、労働者の不利益になるため)
≪今回のケース≫
基本的には、出向者の賃金、社会保険等の取り扱いは、出向元と先の取り決めによる。
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出向元から払う場合 (出向先へは出向料を払う) |
出向先から払う場合 |
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労働基準法 |
・出向元は労働基準法の対象 ・出向先では対象外
出向元については、労働時間管理等を行う。 |
同左 |
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社会保険 |
・加入 |
二以上事業所勤務届による対応 ⇒この場合、不利益無し。 |
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労災保険 |
・加入 補償は、出向元での労災事故のみ、補償額も出向元からの賃金に対してのみとなる。 |
・出向先では加入できない。 補償は、出向元での労災事故のみ、補償額も出向元からの賃金に対してのみとなる。 |
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雇用保険 |
・加入
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・出向先では加入できない 保険は、出向元での事案のみ、額も出向元からの賃金に対してのみとなる。(育児休業、介護休業等) |
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退職金 |
・今まで通り |
・個別に協議の上、取り決める必要がある (出向期間中の給与の合算など) |