NHK教育「100分DE名著」に「ダンマパダ」(真理のことば)が登場
NHK教育で、「100分DE名著」という番組があるそうです。
25分×4回で1冊の名著を専門家が読み解く、という番組なのですが、
9月に取り上げられるのは、人類史上最高の名著「ダンマパダ」(真理のことば)です!
拍手拍手拍手。
そしてナビゲーターは、花園大学教授の佐々木閑先生です。
「ダンマパダ」(法句経)はパーリ語で書かれたいわゆる原始仏典の一つ。
キリスト教の聖書のごとく、「1家に1冊ダンマパダ」運動をしたいぐらいです。
日本人は仏教に興味を持ったとき手に取るのは無党派層なら「般若心経」、
宗派経由なら「法華経」ではないでしょうか。
でも、2つとも、「明日から私はどう生きればいいか」ってことが
直接的には書かれていないですよね?
「ダンマパダ」の何がいいって、もうしょっぱなから、
「どう生きればいいか」を矢継ぎ早に教えてくれることです。
しかも、お釈迦さまの直伝にかなり近いとされる形で、誰でも理解できる。
仏教初心者が最初に手に取るべきは、絶対にダンマパダだと私は思います。
(私はスッタニパータを先に手に取って、少し苦しんだ)
ためしに「ダンマパダ」第1章の冒頭はこんな感じです。
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1、ものごとは心にもとづき、心を主とし、心によってつくり出される。
もしも、汚れた心で話したり行ったりするならば、苦しみはその人に付き従う。
---車をひく(牛)の足跡に車輪がついてゆくように。
2、ものごとは心にもとづき、心を主とし、心によってつくり出される。
もしも清らかな心で話したり行ったりするならば、福楽はその人に付き従う
---影がそのからだから離れないように。
3、「彼はわれを罵った。彼はわれを害した。彼はわれにうち勝った。
彼はわれから強奪 した。」
という思いを抱く人には、怨みはついに息むことがない。
4、「彼はわれを罵った。彼はわれを害した。彼はわれにうち勝った。
彼はわれから強奪した。」
という思いを抱かない人には、ついに怨みが息む。
5、実にこの世においては、怨みに報いるに怨みを以てしたならば、
ついに怨みの息むことがない。
怨みを捨ててこそ息む。これは永遠の真理である。
6、「われらは、ここにあって死ぬはずのものである。」と覚悟をしょう。
---このことわりを他の人々は知ってはいない。
しかし、このことわりを知る人々があれば、争いはしずまる。
( 中村元著『ブッダの真理のことば・感興のことば』岩波文庫 より)
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読むたびに素晴らしいなあ・・・。
ネット上にも現代語訳がいろいろ載ってますが、
やはり本を買って、註や解説もあわせて読むのがいいと思いますよ。
=======「100分DE名著」真理のことば(ダンマパダ)===========
詳しい内容は http://www.nhk.or.jp/meicho/
<第1回 生きることは苦である>
【放送時間】 2011年9月7日(水)午後10:00~10:25/Eテレ(教育)
【再放送】 2011年9月14日(水)午前5:35~6:00/Eテレ(教育)
2011年9月14日(水)午前11:30~11:55/Eテレ(教育)
<第2回 うらみから離れる>
【放送時間】 2011年9月14日(水)午後10:00~10:25/Eテレ(教育)
【再放送】 2011年9月21日(水)午前5:35~6:00/Eテレ(教育)
2011年9月21日(水)午前11:30~11:55/Eテレ(教育)
<第3回 執着を捨てる>
【放送時間】 2011年9月21日(水)午後10:00~10:25/Eテレ(教育)
【再放送】 2011年9月28日(水)午前5:35~6:00/Eテレ(教育)
2011年9月28日(水)午前11:30~11:55/Eテレ(教育)
<第4回 世界は空なり>
ゲスト: 藤田一郎先生(大阪大学大学院教授、認知脳科学)
【放送時間】 2011年9月28日(水)午後10:00~10:25/Eテレ(教育)
【再放送】 2011年10月5日(水)午前5:35~6:00/Eテレ(教育)
2011年10月5日(水)午前11:30~11:55/Eテレ(教育)
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本もいっぱい出てます。
ブッダの真理のことば・感興のことば (岩波文庫)
長老のファンなら
原訳「法句経(ダンマパダ)」一日一話
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初めて聞いた仏さま「熾盛光如来」(京都・青蓮院その2)
京都・東山の天台宗・青蓮院門跡の続きです。
「門跡」というと何かの跡地みたいですが、
皇室や摂政・関白家が代々の門主(住職)をつとめる寺のこと。
普通に考えて、権力に近く羽振りがよさそうですね。
ガイドブックには庭のことぐらいしか出てなかったのですが、
青蓮院は仏像も、また仏教史的にも興味深くて大当たりでした。
◆ 初めて聞いた「熾盛光(しじょうこう)如来」
本尊は、平安後期開創のときから「熾盛光如来曼荼羅」(非公開)。
「熾盛光如来」とは初めて聞きましたが、大日如来の仏頂尊(頭の頂にいる仏)
だそうで、この如来を本尊とするのは、日本で青蓮院だけらしいです。
しかも、普通の曼荼羅は真ん中に仏の絵が描いてあるのに対して、
「熾盛光如来曼荼羅」は真ん中に梵字がある「種子(しゅじ)曼荼羅」。
熾盛光如来を表す「ボロン」という字が描かれています。
非公開の曼荼羅が納められた逗子の前には、
替わりに篤志家から奉納された「お前立ち像」が奉られています。
これは糸魚川産の巨大な翡翠の原石に、プラチナで「ボロン」の字が刻まれたもの。
この翡翠に向かって「ボロン、ボロン」と唱えてください、
というのですから、もう完全に呪術だなあ。
なんと史上初めて2005年に開帳された熾盛光如来曼荼羅
(オリジナルは火災で消失、豊臣秀吉が復元再作成して奉納したもの)。
「ボロン」の周りに、時計回りに観自在、金剛手、毘倶胝、赤色の仏眼仏母、
不思議童子、文殊、救護慧の各菩薩が描かれている。
背景は青い顔料「群青」で虚空を表す。
数百年前の色がこんなに鮮やかに残っているとは。
◆ 天台宗から浄土宗・真宗が生まれた舞台
ご存知のように浄土宗の法然、浄土真宗の親鸞とも、比叡山延暦寺のOBです。
比叡山を下りて「念仏だけでいい」と説いた法然に、
延暦寺や興福寺は猛烈な抗議文を決議して、念仏停止を訴えます。
その法然を庇護したのは、青蓮院の第3代門主・慈圓でした。
また、親鸞が9歳で得度したのも青蓮院で、真宗にとってもここは「聖地」。
境内に、チビっこ親鸞の像がありました。
青蓮院自体は、ご本尊から見ても思いきり天台密教なのですが、
新興思想の法然・親鸞も育むという、仏教史の結節点なのでした。
(何の予備知識もなく行って、あとで知りました)
青蓮院がもっとも羽振りがよかった平安末期~鎌倉初期の3代目門主・慈圓は、
権勢を誇った藤原氏の出。慈圓の兄は摂政・関白・太政大臣の藤原兼実で、
兼実の要請で、法然は専修念仏宣言の書『選択本願念仏集』を書いたそうです。
と考えると、法然・親鸞も最初は権力者にバックアップされていたんですね。
それがじきに「念仏禁止」「流罪」の憂き目に遭うのだから人生わかりません。
しかも念仏弾圧を決定づけたのが、後鳥羽上皇を激怒させた
しょうもない色欲スキャンダルだったというから面白い。
いわゆる南都六宗→天台・真言→浄土宗・真宗→禅宗・・・。
日本仏教の流行廃りって、朝廷・幕府に気に入られたり嫌われたりという
権力闘争も込みで見ないとわからないなあ、と当たり前のことを実感します。
そういえば、紅葉の時期に青蓮院のライトアップを見に行こうとした知人が、
大行列で入れなかったと言ってました。行くならオフシーズンのほうがいいかも。
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ロックな蓮の襖絵。ki-yanて知ってますか?(京都東山・青蓮院その1)
しつこく続く京都探訪記、
本日は京都市内東山の天台宗・青蓮院門跡(しょうれんいんもんぜき)です。
かの浄土宗総本山・知恩院の近くにある青蓮院、
ほとんど知識もなくさまよい込んだところ、これがまた素晴らしいお寺でした。
仏教的にも書くべきことは多いのですが、
なぜこんなことになっているのだろう、もう朝の4時だ。
さわりだけ記すこととします。
まず門の前にある巨大な楠。
サルトルさんが嘔吐しそうにうねうねと地を這う根には
青く光る苔がびっちりと生えていて、
南洋の神がかった毒蜘蛛の脚みたいでした。
中に入ると、メインの客殿「華頂殿」の、
蓮の襖絵がやたらとカッコいいではありませんか。
なにこれ?なにこれ?
手元の旅行ガイドでは一言も触れていなかったのですが、
この襖絵を描いたのは、
「ロック黎明期を駆け抜けた男 ki-yan」こと木村英輝というアーティストだとのこと。
京都では有名人っぽいのですが、私は初めて知りました。
若かりし頃はロックフェスティバルのプロデューサーだったのが、
還暦過ぎて「絵描きとして飛びだした」のだそうです。
HPに作品が出ているので、ちょっと見てみてくださいな。
この方に襖絵を頼む青蓮院も相当にロックなお寺です。
http://www.ki-yan.com/index.html
八坂神社前のオリジナルグッズショップ「キーヤン・スタジオ」
にも寄りましたが、楽しかったなあ。
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青蓮院の襖絵バッグ。ネットでも買えます。8400円しますけど。
この鯉もよかったなあ。









