坊主頭+袈裟で2割は男前になる(「アブラクサスの祭」)
(どうもデスマス調は書きにくいので今日からいきなりデアル調。)
昨年公開された映画『アブラクサスの祭り』がDVDになったので見た。
原作は臨済宗の禅僧・玄侑宗久さんの同名小説で、
ロックを捨てきれない、鬱病の迷える坊さんが主人公。
通いのお坊さんで、マンションに帰ると普通に妻子がいて
毎晩のように酒を飲んでいて、ほとんど普通のサラリーマン。
日本の通勤僧の等身大なのかもしれないけれど、
この人にお布施をする理由がわからないし、
この人の勤務先に法人税がかからない理由もわからない、と
軽く不愉快になった。コメディタッチの前半はね。
玄侑さんが原作だから、仏教的に大きく外すはずがない、
と思って観ていたら、果たして後半は面白くなってきた。
檀家さんのヘビーな死とか、その息子との会話、供養、
荒れる海との対峙、死期が近い犬、お寺でのライブ・・・
もろもろのシーンを通して、
仏教、というか禅に触れた、という気分にさせてくれた。
原作は未読だけれど、もっとシリアスな純文学らしい。
主人公は、統合失調症含みの躁鬱症で、精神の病とか迷いの内面とか
最後のライブ=祝祭の中での啓示とかがもっと描かれているらしく、
思うんだけど、坊主頭+袈裟って、2割増しで男前になりますね、
主役のスネオヘアーが、普段よりずっといい男に見えたもの。
袈裟でギターを弾くと、それだけでカッコいいし。
非モテの男性が、剃髪をして袈裟を着た途端にモテ始めて、
檀家の後家さんに迫られてもうたいへん、みたいなことは
現実にあるのだろうか? あるような気がする・・。
映画のロケ地は福島原発から約40キロの福島県三春町。
地元の人もエキストラで登場している。
このフィルムに残っているのは、
事故が起こる前の風景なんだと思うと、やるせない。
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