やがて哀しき外国語 村上春樹 | 音楽、経験、心情、出会い
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村上春樹さんがアメリカ、プリンストンに住んでいた時の長めのエッセイ集。面白く興味深く読めた。誰かの思考や体験話を読むのは好き。そしてこの人の文章は実は始めて読んだ(有名な小説も読んだことがない)のだけど、考え方や物の見方で共感できることがすごく多かった。

村上春樹さんは、この本のことを、まえがきで"心情の記念写真"と言っている。人生の中で特別な色合いを持つ時期の、自分の心情やまわりの出来事を記録しておいてよかったなと思う。気持ちの流れみたいなものは、時間が経ってしまうとなかなか正確に思い出せないものだから。と。

私もこのブログを始めようとおもったきっかけは、まさにこれ。初めて親から離れて、ドイツで1人暮らし。そしていろんな人と出会い、刺激を受け、本当の意味で本気になって音楽を勉強しようとしている今。考えてることも、感じることも、日々たくさんあって、でもきっとすぐ忘れてしまうし、また少し経てばすぐに違うことを思っている。そのひとつひとつを出来るだけ記録しておきたい。素敵な経験や出会いを、のちにちゃんと思い出すきっかけにしたい。

あと文章を書くと、自分でも自分の考えや気持ちを整理できる。文章をかいていると、自分が本当に感じてたことや、どうするべきなのか、真剣に自分と向き合える。日本にいた時は、家族や友達、彼などになんでもかんでもよく話して、相談してた。今思うとそうやって話しながら、自分の気持ちを整理していた気がする。ドイツにいても日本のみんなと連絡はとるし、友達もいるけど、圧倒的に1人でいる時間が増えた。そしていちいち人に聞かないで、1人で決断して行動することが増え、だんだんそれがふつうなり、自分にとって最善、最高はなにか、自分自身で考えるようになった。当たり前なのかもしれないけど、そもそも優柔不断な性格で、まわりに恵まれて育ってきた私は、悲しいことも人に話して慰めてもらい、分からないこともすぐ聞いて助けてもらい、影響されやすい性格だから尚更、いろんな物事を、1人で全て受け止めて、自分で確かめて、考えて、決断または消化するということをしてこなかった気がする。それにポジティブな性格も合わさって、いろいろあったけど、なんとなく楽しく元気に過ごしてきた。

この本の内容は、日本にいた時の社会から切り離されて丸裸になった自分自身で、言語の違う国で外国人のして生きていくことや、外国からみる日本の姿などがかかれていたりして面白かった。ヨーロッパにいたときのエッセイ、遠い太鼓というのもあるらしい。ぜひ読みたい。