世界に刻まれる | 音楽、経験、心情、出会い


昨日、ブレーメンと名古屋の芸術家の方々の合同展示会"ONGAESHI"に行きました。そこで知り合ったケイコさんに誘って頂き、夜はそのままブレーマーハーフェンの劇場でドイツの作曲家 エドゥアルト・キュンネッケのオペレッタ "どこかの従兄弟"を観に行きました。

ケイコさんはデザインをされている方で、柔らかな表情、落ち着いた声を持った気さくな方でした。旦那さんのノリヒサさんと、芸術について、とても素敵な哲学的な考え方や言葉をたくさん教えてくれました。あらゆる事に興味を持ち、世界にある一つ一つの物に対しての丁寧に見て考えて、感じていて、私にはない物を沢山持っている方で、短い時間でしたが沢山の刺激をもらいました。

オススメして下さった本。

•高橋悠治著
音の静寂 静寂の音
•保坂和志著
季節の記憶

印象的な言葉、お話。

「音は出た瞬間、世界に刻まれる。音は目に見えないし、形に残るものではないが、その音が出る前と後では必ず違った世界になっている。その瞬間を我々は生きている。」

お二人が保坂和志さんの本でこのような言葉に出会い、ご自身の考えも含め、噛み砕いてこのような話をしてくれました。聞いた瞬間、かかか…かっこいい……と震えました。

もういっこ。

「新しく自分のオリジナルを表現している人々も素晴らしいが、そのパフォーマンスはその人の人生で始まり、終わる。しかし昔からある芸術や伝統をなぞって表現している我々は、今まで何百年とそれを繋いできた人々の想いや技術を背負い、そしてまた何百年と続いていくであろうそれを今自分の人生が中継している。こんな誇らしいことはない。」

これは歌舞伎をされている方のお話だそうです。私がやっているクラシック音楽にも重なるところがあり、胸に響きました。自分の技術や音楽は何百年も前から繋がれて色んな人の考えを含んで、今の自分に届いている。私も次に繋げられる音楽家になりたいと、この話を聞いてはじめて思いました。
 
今まで私は、いかに目の前にある課題の壁を超えるか、本番でいい演奏するためにどうしたらいいか、試験に合格したい、人に認められたい。そんな事を考えてヴァイオリンを弾いてきたけど、昨日の話はそんな事よりももっと深く広い視点で、音楽について考えるきっかけの日になりました。

ケイコさんからご自身の素敵な素敵な作品集をプレゼントして頂いたので、じっくりじっくりみていきたいと思います!作品も展示会でみたのですが、本当に素直に心から素敵だな…と思えるものでした!お人柄と世界観がつまった作品集、本当に嬉しい!今からわくわく!です!

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