わたしのことだけみつめてよ - 2022年 12月 -薔薇の花は膨らみ、大きくなり、そして、散っていく。時間は流れ、命は移ろい、景色は変わる。知っている。分かっている。もう花が咲かぬことも。僕には奇跡を使う力はない。僕はただの男だから。僕は落ちていく薔薇の花びらを砂を掬う手の平のように差し出して、何枚か受け止める。それは永遠の花だと強がって。