弊社ホームページ で掲載されている「社長のコラム」8月17日更新分です。バックナンバーはホームページへアクセスお願い致しますパソコンベル


「会社の後継者選びに息子・娘があてにならない時代/これからの事業承継の方向性 」


 下のグラフをご覧頂きたい。事業承継が実施された時の先代経営者と現経営者との関係を示したものです。20年以上前は、79.7%の経営者が息子と娘に事業承継していました。その他の親族を合わせると実に93.9%が、親族への事業承継であったことがわかります。
 
 ここ4年以内の事業承継では、息子・娘への事業承継が41.6%まで4割近く激減しています。最早、オーナー経営の社長は、自分の会社を息子や娘に承継できなくなっている実態をグラフから見ることができます。
 5年で10%減のペースで息子・娘への事業承継が減少していますから、このペースで推移すると5年後の
2012年には、全体事業承継の3割程度しか、自分の息子・娘が後継者として事業を承継してくれなくなります。


(先代経営者との関係の変化)

ネクストブログ-表1


もう一つ、グラフを見て頂きましょう。これは、親の事業を承継しない理由を尋ねたものです。

(親の事業を承継しない理由)


ネクストブログ-表2


 「親の事業に将来性・魅力がないから」が全体で45.8%、男性については50.3%ともっとも多くなっています。次いで「自分には経営していく資質・能力がないから」が全体では36.0%となっており、女性は45.3%ともっとも多い回答となっています。要するに、承継への意欲を示している経営者の息子・娘が少ない」ということです。


 事業承継が息子・娘やその他親族へできない場合は、「会社清算」して事業を継続して経営しないということも、一つの選択です。しかし、社員や取引先のことを考えると、会社をクローズしてしまうことは問題があります。

 そこで、次なる事業承継の手段として、以下の3つが考えられます。



(1)外部人材の招聘という形の事業承継

 中小企業オーナー社長が納得した外部人材の招聘による社長人事で事業承継させる場合です。外部からの人材は、経営能力が長けているでしょうが、中小企業の社内をまとめていくためには人事の掌握が大切です。
 業界知識を吸収し、社内体制を再構築するための時間が必要です。また、社内の業務改善を同時に実施する必要があります。

 事業承継をするオーナー社長の立場からは、監査体制、牽制機能、管理体制などを整備し、ガラス張りの経営に向かわせる必要があります。



(2)社内人材の登用という形の事業承継
 
 役員または社員からの登用で事業承継させる場合、業界や社内事情は十分わかっているので、体制移行がスムーズに進みます。
 しかし、オーナー社長のカリスマ性が無い分、組織管理体制(経営計画、営業推進、数値管理・人事管理・品質管理・在庫管理・顧客管理・資金資産管理・規程稟議など)を整備することが必要です。


 
(3)M&A(会社売却)による事業承継

 会社清算と違い営業権を価値評価でき、取引先や社員に迷惑を掛けないで経営から退くことができます。M&Aによる事業承継の形も、以前のような後ろ向きのイメージが薄れています。事業が継続することで、周囲への影響は最小限に防ぐことができます。

 M&Aの売り手側として、正当な価格で売却するためには、会社の実態を正確に買い手に示せなければなりません。
 「経営計画が無い」「数値管理ができていない」「管理体制が整っていない」「業務分掌・職務権限規程・稟議規程など組織運営上のルールが明確でない」「人事制度が確立できていない」「経営者と会社の資金の流れが不明瞭」「資産と負債が明確でない」等々、M&Aの買い手側からの買収監査(デューデリジェンス)に対応できなければ、企業価値を評価できません。
 
 M&Aを活用した事業承継を検討するのであれば、デューデリジェンスに対応可能な会社にするために社内整備を実施しておかなければなりません。
 1年くらいの時間があれば、100人規模の企業であろうが1店舗の小売店であろうが、M&Aを活用した事業承継の準備は可能です。


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