失はれる物語:乙一

テーマ:

乙一:失はれる物語の文庫版です。



失はれる物語 (角川文庫)/角川書店
¥580
Amazon.co.jp


【裏表紙から】


目覚めると、私は闇の中にいた。


交通事故により全身不随のうえ音も視覚も、五感の全てを


奪われていたのだ。残ったのは右腕の皮膚感覚のみ。


ピアニストの妻はその腕を鍵盤に見立て、日々の想いを


演奏で伝えることを思いつく。それは、永劫の囚人となるが・・・。



【ひとこと】


乙一氏の文庫版短編集です。


裏表紙のあらすじは本書のタイトルとなっている

[失はれる物語]のものです。

五感を失いながらも妻と娘へ愛情を傾ける悲運な男の物語です。


その他全8編が収録されています。



[Calling You]

頭の中の妄想のケータイ電話が、遠くの友達に繋がった。

SFチックで、悲しいけど、救いが用意された未来への物語です。


[傷]

傷を自由に他人へ移すことのできる心優しい少年たちの物語。

温まります。


[手を握る泥棒の物語]

売れない時計デザイナーの物語。

どうしても新しいデザインの時計を売り出したいのに、お金が無い。

そうだ、泥棒しよう。

ちょっと微妙な物語でした。


[しあわせは子猫のかたち]

引っ越した先の家の前の住人は、殺されていた。

気にせず生活しようとしていたけど、いつのまにか見知らぬ子猫が

家の中へ。

子猫はどうやら誰かの後をついていっているように見える・・・・。


死んでしまった人との意思疎通ができる不思議な家。

ミステリ的な要素も含みつつ、なかなか面白い短編です。

本書の中では一番好きです。


[ボクの賢いパンツくん]

超短編。

読んでください。


[マリアの指]

本格的なミステリ。

展開は少し強引かもしれません。


[ウソカノ]

あとがきに代えて、書き下ろした短編です。

気持ちは分かります。分かります。



乙一氏の作品は初めて読みました。

悲しくも心温まる物語がじわっと頭の中に染み入って

良かったです。

他の作品も読んでみたい。


オススメ度 ☆☆☆