SOSの猿:伊坂 幸太郎

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伊坂 幸太郎「SOSの猿」です。

中公文庫から。



SOSの猿 (中公文庫)/中央公論新社
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【裏表紙から引用】


三百億円の損害を出した株の誤発注事件を調べる男と


ひきこもりを悪魔祓いで治そうとする男。


奮闘する二人の男の間を孫悟空が自在に飛び回り


問いを投げかける。「本当に悪いのは誰?」


はてさて、答えを知るのは猿か悪魔か?


そもそも答えは存在するの?


面白くて考えさせられる、伊坂エンターテインメントの集大成。



【ひとこと】


伊坂氏の文庫が刊行されています。

ジャンルは、何だろう。

いつもの通り、空想とリアルが混じり合う伊坂ワールドです。


二つの場面があって、ひとつはソフトウェア会社の品質管理部に

勤める男の物語。

彼は、株の誤発注が自社のシステムが原因なのかどうか、調べる

ために他の証券会社まで出向いて調べに行きます。


もうひとつは、イタリアへ絵画留学していたけど、悪魔祓いのやり方を

覚えて帰ってきてしまった男が、親戚のひきこもりの悪魔祓いを

請け負う話。


両者が交互に語られつつ、実は関係の深いお話でしたーという

よくあるパターンです。


悪魔祓いの物語とシステム調査の物語。

単体で読むととても興味深いお話でした。

けど、西遊記の孫悟空が現れたあたりから意味がわからなく

なってきます。

伊坂ワールドと言われたらそれまでなのですが、なぜ孫悟空。

なぜ西遊記。唐突すぎてついていけません。


後半になり物語が収斂すると一応の納得はできますが

孫悟空のくだりや、もやもやした部分が結構残っていて

だいぶすっきりしない終わり方でした。


なにやらメディアミックスで「SARU」という漫画版があるようなので

そちらで補完する形なのかも知れませんが、正直伊坂氏の小説は

当たり外れがありすぎます。

本作についてはあまりオススメできないものでした。



オススメ度 ☆

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死体を買う男:歌野 晶午です。

講談社文庫から。



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【裏表紙から】


乱歩の未発表作品が発見された。


「白骨鬼」というタイトルで雑誌に掲載されるや大反響を呼ぶ


何紀・白浜で女装の学生が首吊り自殺を遂げる。


男は、毎夜月を見て泣いていたという。


乱歩と詩人萩原朔太郎が事件の謎に挑む本格推理。


実は、この作品には二重三重のカラクリが隠されていた。



【ひとこと】


裏表紙の解説文では何がなにやらなので、ざっくりと説明を。


まず、本作の主人公は細見辰時という名のミステリ小説家です。

グロテスクさをイメージさせるタイトルですが、そうではなく

本編にも関係のある意味のあるタイトルであると、読後は思います。


細見は、作者不明の連載作品を読むことになります。

読めば読むほど、江戸川乱歩の特徴を前面に押し出した筆致であり

編集者に尋ねると、新人が書いたという。

本当に新人が書いたものか、確かめたくなり本人と会うことになります。


作者不明の連載作品「白骨鬼」は、作中作として全編が物語と

同時進行で挿入されていきます。

「白骨鬼」自体は、普通のミステリ作品なのですが、それにも2転3転する

良質の作品で、単品でもなかなかに楽しめると思います。


ふと思い立った細見は、著作者である西崎に対して、単行本化する前に

著作権を買取ろうと提案します。

当然西崎は反発しますが、細見にはどうしても譲ることのできない理由が

ありました。


と、大筋は上記のような感じ。

作中作と、本編との連動、クライマックスまでの構成等この作者は本当に

構成力があります。ぼーっと読んでたらわけがわからなくなるので

静かな部屋で集中して読むことをおすすめします。

そして読後には、最初に戻って「自序」の部分を再読して頂きたい。



オススメ度 ☆☆☆☆

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倉知 淳:星降り山荘の殺人です。

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【裏表紙から】


雪に閉ざされた山荘。ある夜、そこに集められたUFO研究家、


スターウォッチャー、売れっ子女流作家など、一癖も二癖もある


人物たち。交通が遮断され、電気も電話も通じていない陸の孤島


で次々と起きる殺人事件。


果たして犯人は誰なのか?



【ひとこと】


オーソドックスなミステリです。

豪雪のためクローズドサークルとなった雪の山荘が殺人事件の

舞台となっています。


主人公の説明、探偵役の説明など、ときどき著者からのモノローグが

挿入され、筆者からのフェアな挑戦状をつきつけられます。


内容としては、手の込んだ密室トリックや心理トリックなどが用いられて

いるわけではなく、探偵役が淡々と謎を解いてゆく形式の物語。

ミステリを読みなれた人には少し退屈かもしれません。

終盤には、驚愕・・・というほどではないにしても、驚きの結末が

用意されています。

とにかく淡々としています。



オススメ度 ☆☆☆



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