自分が不幸なときに、幸せな人が隣にいたら、その人と比べて劣等感を感じたり、幸せな人に嫉妬をするのは、人間の本能と言える。

その意味で、衣食足りて礼節を知るという諺は本質を突いている。自分が満たされて初めて他者に対する心のゆとりも生まれてくるのだ。

後天的にできることは、自分にとって何が幸せで何が不幸か、答えを持つことだ。これは容易でない。この日本で長年幸せはお金持ちであること、結婚していること、社会的地位のあることとイコールであった。

自覚的に呪縛を逃れ、一個人の哲学で幸せの定義に到達するのはあまりにも困難な命題で、出来たとしても晩年死ぬ間際が関の山である。