前回の記事は、こちら─、
『 世間ではカッコ悪いとされて来た方法が、実はビジネスの王道だったりするから厄介だ…!? 』
もう十年以上、前の話になるが、
かつて、私が勤めていたソフト会社では、社内や顧客環境の、
メンテナンスに、リモートコントロールソフトを利用していた。
この分野のメジャー製品の1つに、シマンテック社の、
pcAnywhere という製品があったことを、ご記憶の方も多いだろう。
WindowsXP が、まだ最新 OS だった当時、遠隔から、
自分のパソコンを扱うがごとく、
他のパソコンを操作できる、
リモートコントロールソフトの存在に、
"こんなことが出来るのか…"
と大層、驚かされたものだ。
しかし─、
2015 年 4 月、シマンテック社は pcAnywhere の
販売を終了した。
最近でこそ、Android や iPhone といった携帯端末が、
随分と幅を利かせてきた感もあるが、
それでも─、
マイクロソフトの影響力というものは、依然、
大きなものがある。
我々、ソフトウェアベンダーは、いわば、
マイクロソフトの「 城下町 」で,
商いをさせてもらっている、商人のごとき存在と言えよう。
そこで我々は、アプリケーションソフトという土俵にのぼり、
様々な取り組みを展開し、しのぎを削るわけだが…
デスクトップソフトウェアを書こうと思ったら、マイクロソフトの
土俵に上がらなくちゃならない。
OS のバグを回避しつつ、彼らの API を呼ばなくちゃならない。
そして、やっとのことで売れるソフトウェアを書き上げた時、
あなたは単にマイクロソフトのマーケットリサーチを、やっていた
だけだったということを知るのだ。
( ポール・グレアム / 米のベンチャーキャピタル )
もちろん─、
個々のソフトウェア会社は差別化をはかり、自社商品の
優位性をアピールするだろう。
「 お客様の声 」なんかを、たくさん自社サイトに、
掲載したりなんかして…。
でも─、
たいていのユーザーは、もう使わない。
既に純正の製品が OS 入っているのなら、敢えて、
他社の製品を購入してまで使わない。
( たとえ、ネットからダウンロードするだけだったとしても… )
多くのユーザーにとっては、十分、それで、
こと足りるのだから。