私が新卒で入社した、
ある中堅ソフトウェア会社での話である。
その会社は、主に販売管理などの、
業務系システムを手掛けて来たソフトウェア会社で、
その主力部門たる開発部には、
30 名前後の SE、プログラマーが在籍していた。
しかし─、
私が配属されたのは、その部門ではなく、
主に、Web・ネットワーク関連の調査研究を目的に、
前年度からスタートした、
出来立てホヤホヤのセクションで、
まだ部門と言うには、おこがましい、
開発室のような部署だった。
しかし─、
当時、インターネットが一般の利用者にも、
だいぶ身近な物となり、
世間が、ネットでのビジネス活用を、
本格的に模索し始めた時期で、
会社としても世間に後れをとるまいと、
早々に研究チームを立ち上げたという状況だったようだ。
とは言え─、
当面は社長自らが部門長を兼任するという、
( そこだけを聞けば… )、なかなかのチカラの入れようで、
また事実─、
設立と同時にその部門へと配属された先輩のエンジニアは、
社内でも一目も二目も置かれる、トッププログラマーだった。
そんな部署で始まった私の社会人生活だったが、
そこそこ会社にも馴染みを見せ始めたある日、
その先輩プログラマーが私に、ポツリとこうつぶやいた。
「 あの開発部の S 部長は、自分より優秀な人間は、
絶対に自分の部署には入れないからな… 」
当時、会社に少しは馴染み始めたとは言え、まだまだ、
社会人になり立てで、見るもの全てが新鮮だった私は、
"これが社内における人間関係の機微というやつか…"
などと妙に納得しつつ、その先輩の話に聞き入っていた。
( 次回へつづく... )
『「 名選手、名監督にあらず 」の意味を都合よく解釈してないか!? 』