以前いた会社でのことである。
私は、かつてインターネットテレビ電話の
開発に、携わったことがあるのだが、
その際─、
社内の企画サイドから、
「 ブラウザ上で動作するシステムとして実現できないか? 」
という話が持ち上がったことがあった。
このことで、開発サイドは難色を示し、
例によって─、
企画側と、開発側による、
激論バトルが交わされることとなった。
開発サイドとしては─、
インターネットテレビ電話のようなソフトウェアを、
ブラウザ上で実現するとなると、
決して─、
軽快なシステムにはならないとの、
確信に近い目算があった。
インターネットテレビ電話を実現するには、
当然─、
ローカル環境のビデオキャプチャデバイスや、
音声の入出力デバイスなどを制御する必要があり、
また─、
WinSock などのネットワーク系 API も、
使用することになる。
もちろん─、
ブラウザ上からでも、
様々なテクニックを駆使すれば、
そういったローカルデバイスにアクセスする方法や、
ネイティブコードを実行する方法は、
なくはないかも知れない。
しかし─、
そもそも、インターネットテレビ電話のような、
システムは環境に負荷もかかる。
それを─、
ブラウザ経由で行うとなると、
様々なオーバーヘッドは避けられない。
いかに、そのシステムがユーザーにとって、
魅力的な機能を備えていたとしても、
動作にストレスを感じるようでは、
ユーザーは、離れて行ってしまう。
「 ブラウザ上で動作するなら、インストールの、
必要がないため、素人でも取っ付きやすい… 」
そう、あるクライアントから指摘されたことが、
企画側がブラウザによるシステムを、
推奨するようになった主な要因だったようだが、
そうかと言って─、
そのクライアントが開発費を出資するわけではない。
( そのクライアントからのオーダー開発である、
というのなら話は別だが… )
当然─、
試作版を開発してみるにも、
いささかコストが、かかり過ぎる。
確かに─、
そういった難題を克服してこそ、
自社商品に、強みも生まれる…、
とのご意見も、もっともではあるが…、
しかし─、
そのクライアントの懸念が、製品に対する、
"取っ付きやすさ" への不安にあるとするなら、
その懸念を払拭する対策を、
幅広く検討すべきであり、
「 ブラウザ 」というキーワードに、
とらわれるべきではない。
かつて─、
ヘンリー・フォードは次のように語ったと言う。
( 次回へつづく... )
『 ヘンリー・フォードが語った、顧客に耳を傾ける際の戒めが衝撃的!』