私が以前、勤めていた会社の、
( あまり技術には明るくない ) 社長が、
ある新人エンジニアに向かって─、
「 技術は、社内で共有されなければならない、
君の技術は、君だけの技術になってはならない 」
と、しきりに語っているのを耳にし、
傍で聞きながら内心、訝しく感じたのを覚えている。
文面だけを見ると、一見、
ごもっともな話にも思えるが、
その背景には─、
これまで技術者が、ちらほら退職し、
せっかく蓄積してきたノウハウが、
すべてとは言わないまでも、
ある程度は、失われてしまうという経験を、
苦々しく感じて来た、
経営者としての憤りが見てとれたからだ。
かく言う私も、これまで二度ほど、
転職を経験しているが、
確かに─、
時間と、お金を注ぎ込んで、育成してきた人材が、
やむを得ぬ事情があるのなら、いざ知らず…、
会社との、そごにより辞めて行くというのは、
経営者からすれば、決して愉快な話ではないだろう。
( 次回へつづく... )
『 では、技術者の「 頭の中 」は会社の物か?それとも、技術者の物か? 』