"バイオレット・ウェルス"
若いお前は知らんだろう、
もう死んだかもしれん。
バイオレットは歌うスミレと言われた。
俺は伴奏をしたことがある。
レギュラーもない、まだ駆け出しの頃さ。
皿洗いのバイトをしていた。
もちろん今のような名前が売れるずっと前の事で、
俺なんかに目を向ける客は一人もいなかった。
でも俺は、このバンドで彼女の伴奏から始めた。
歌は合っていた、だがメロディの中だけだ。
ある時言われたよ、
「 クロ、あたしが歌ってる時は変な音、出さないで 」
それからしばらくして、俺とピアノ弾きは、
別の店のチェロキーで仕事したが、
その歌を何千回もやらされて、
死ぬほどうんざりした。
だが、そのうちにコードを変える方法を発見した。
まるで新しい歌になったよ、それでも合う。
勝ちぬきで恥をかかされた、あの時以来やってる。
「 チェロキーの橋 」それを渡ったんだ。
クリスマスの二日前、1939 年だ。
クリスマスプレゼントさ。
チャーリー・パーカー ( 映画『 バード 』より )